田口泰士が語るブラジル戦。「ネイマールにやられた理由」
アギーレジャパンとの遭遇~世界へ挑む男たち・田口泰士(前編)
名古屋市内にあるレンタルビデオショップ「TSUTAYA」で、彼はDVDを選んでいた。痛快な気分にさせてくれる映画が好き。例えばカーアクション映画のシリーズ『ワイルド・スピード』はお気に入りだ。
一緒にいたチームメイトとふざけ合っていると、手にしていた携帯電話の着信が鳴った。画面表示はクラブフロントの人になっていた。「なにかな?」と訝(いぶか)りながら通話ボタンを押した。毎日のように練習場に通っているわけで、火急の用件でない限り、電話は来ないからだ。
「とんでもないことになったぞ」
そう告げられたとき、彼は一瞬、頭が混乱した。
10月14日、ブラジル戦にフル出場した田口泰士<なんかやらかしたっけ......>
とりあえず、1週間の自分の行動を素早く振り返ってみたが、やましいことはなにひとつなかった。
「えっ、なんなんすか?」
通話口で必死に訊いても、「何だと思う?」と焦らされる。悪さはしていなかったから、次第に息が整ってきた。
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