田口泰士が語るブラジル戦。「ネイマールにやられた理由」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Sueishi Naoyoshi

「すっかり代表に定着しましたが……」

 リポーターや記者に的外れな前置きで質問を振られると、彼は居心地が悪くなる。3試合はあっという間だった。なにかを残したとも思っていない。

 ブラジル戦は4-3-3のアンカーとしての出場で、ホンジュラス戦も同じポジションに入った。

「ブラジル戦は頭から使うぞ。おまえは所属チームでは(ボランチ)2枚でやっているんだったな?」

 アギーレに問われたとき、彼はわずかに戸惑いながらも応えた。

「はい」

「アンカーもいけるな? おまえは右も左も蹴れる。ビジョンもあるから展開力を出して欲しい。そして守備に関しては真ん中から離れるな」

 自分はアンカーとして呼ばれたんだ、とそのとき思い知った。練習はボール回しなどが多く、紅白戦のサブ組に入ったときは敵チームのフォーメーションで戦うため、センターバックをやることもあった。自分のどこが評価されているか、それまでは把握していなかった。

 田口は名古屋でダブルボランチの一角でプレイしている。ダブルボランチは守備では左右どちらかを担当し、攻撃はどちらか一人が飛び出したら、もう一人はカバーするなど役割が明確だ。一方、4-3-3のアンカーは最終ラインの前でボールを振り分けて攻撃を組み立て、センターバックの守備を補強し、攻守全体の舵を取る。自分の両サイドのスペースをどう守るか、とりわけ守備面のバランスが難しい。

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