田口泰士「日本代表に選ばれ、地元沖縄の人が見てくれた」
アギーレジャパンとの遭遇~世界へ挑む男たち・田口泰士(後編)
田口泰士は代表3試合(10月10日ジャマイカ戦、14日ブラジル戦、11月14日ホンジュラス戦)で自分なりの手応えを感じていた。実際にやってみなければなにも分からない、と彼は悟っている。アンカーは失敗もあったが、できる部分もあった。再び代表に選ばれるか、そんなことは頭にない。プレイに陶酔を感じられたら、その実感は余裕や勇気を与えてくれる。彼は多分に感覚的なところがある。
(前編はこちら)
10月14日、ブラジル戦にフル出場した田口泰士 実は代表メンバーに初招集される前、彼は悪くない感覚を手にしていたのだった。
話を聞いたのは2014年11月、名古屋市内。田口泰士はランチする店に向かい、愛車を走らせていた。味噌煮込みうどんの老舗店に入ろうとしたが、あいにく店の外まで長蛇の列だった。いつもはクラブハウスで昼は済ませているが、この日は高円宮杯U-18 プレミアリーグに参戦している母校、流経大柏の試合を見てから外に出ていた。
<今日は日曜か。栄(※)に車で来ちゃいけないんだった>
※名古屋市中区にある繁華街
渋滞に巻き込まれた彼は軽く舌打ちした。連休中日の日曜日で、通りには車の列。人が多すぎると、酔いそうになる。沖縄県那覇出身、島を出てから10年近くなるが、未だに人の波には慣れない。
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