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照準は世界より先。U-17日本のサッカーが変わった (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 吉武監督は「最後の(崩しの)ところは、まだ質が上がっていかない」と厳しい言葉を口にしながらも、こう語る。

「でも、そこは日本だけでなく、世界中、どこも課題だと思う。ブラジルW杯を見ても、結局どこの国も(最後のところを)崩せてないなと感じたし、そういう意味では、僕は逆に自信をもらったと思っている」

 確かに、ブラジルW杯で上位に進出したオランダやアルンゼンチンを見ても、それほど相手を崩して得点していたわけではなく、ロッベンやメッシといった特別な選手ひとりの力によるものが多かった。本当の意味で「崩していた」のは、ドイツくらいのものだろう。

 どこか達観したような、特有の言い回しで、吉武監督が続ける。

「そこで、もし日本が、3人、4人(のコンビネーション)で崩せるようになれば、世界の上位にランクされる可能性はある。だからこそ、今ここ(U-16代表)でできなくても、そういう刺激を選手に与えることが大切だと思う。コンパクトな相手(の守備)を崩せるかどうか。まだ合格点はあげられないが、これを続けていきたい」

 ポゼッションで圧倒し、そのうえ、ゴール前を固める相手を崩し切ってゴールを奪う。

 そんなことが本当にできれば、もはや怖いものなし。簡単なことではないが、吉武監督が率いてきた歴代のチームの進歩を見ていると、まんざら不可能ではないと思えてくるから不思議なものだ。

 吉武監督から薫陶を受けた選手たちが、世界を相手に今度はどんなサッカーを見せてくれるのか。

 期待は高まるばかりだが、そのためには、まずはU-17W杯の出場権獲得である。

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