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【プロ野球】ヤクルトが下馬評を覆すまさかの快進撃 その裏にある「池山采配」と「気がつけば廣澤」の存在感 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Seiya Shimamura

「初勝利はプロに入って考えられなかった景色なので、うれしかったです。そして、いろいろな場面で投げさせてもらって、本当に勉強になった1週間でした」

【甲子園で阪神の中軸を三者凡退】

 育成担当として廣澤を見続けた由規二軍投手コーチは昨年、「あれだけの真っすぐで打者を圧倒できるのは、チームにとって試合の流れを引き寄せる力になりますし、もう夢しかないですよね」と、笑顔で語っていた。

 今年は映像で廣澤のピッチングを見守っている。

「まだ力を出しきれていない部分はありますね。オープン戦から一軍を意識して投げてきた分、少し球威に物足りなさがありましたから。それでも昨日の阪神戦を見て、そうした状況を乗り越えたかなと。もともと変化球でカウントを取れる投球センスはあるので、あとは経験を積んで状況判断ができるようになれば、さらに落ち着きも出てくる。一軍の緊張感のなかで投げ続けることで、パフォーマンスは上がっていくと思いますし、そこに期待しています」

 由規コーチが言う「昨日の阪神戦」とは、4月8日に阪神甲子園球場で行なわれた一戦だ。廣澤は、1対2で迎えた5回裏に登板。打順は森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔のクリーンアップ。甲子園のボルテージは最高潮に達していた。

「完全アウェーで相手への声援はすごくて、多少は気になりましたが、いい打者だとわかっていた分、変に意識せず投げられたというか......。マウンドでは『自分のボールをしっかり投げれば打たれない』というコーチの言葉を思い出し、自分のピッチングはできたかなと思います」

 廣澤は、森下をスライダーで見逃し三振、佐藤を155キロのストレートで空振り三振、大山を154キロのストレートで左飛に打ち取り、三者凡退に抑えた。この好投で試合の流れを引き寄せると、チームは6回表に逆転。廣澤は2勝目を手にし、試合後、池山監督は「気がつけば廣澤」のコメントを残し、こう続けた。

「ああいうところで佐藤選手から三振を取れるくらいのボールだし、かなり自信になったと思います。そういう意味でも、大きなマウンドになったのではないでしょうか」

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