【WBC 2026】大谷翔平・鈴木誠也の豪快弾の陰で 侍ジャパン4番・吉田正尚が見せた「ひと振りで仕留める男」の凄み (2ページ目)
【失投をひと振りで仕留める集中力】
5対5の同点で迎えた7回裏には、二死満塁から鈴木の押し出し四球で勝ち越した直後、吉田がセンターへの2点タイムリーで貴重な追加点をもたらした。
「イケイケの展開でしたし、甘く入ってきたところを1球で仕留められてよかったです」
確かに、147キロのストレートが真ん中高めに来たところをしっかり捉えた。さかのぼって3回のライトへの本塁打も、真ん中高めに甘く入ったカーブを見逃さなかった。いずれの打席も初球のストライクに手を出さなかったあと、相手の失投をひと振りで仕留めている。
さらに言えば、3回の打席は二番手投手が登板した直後の初球、微妙な判定だった。真ん中高めのストレートをストライクとコールされたが、少々高くなかっただろうか。少なくとも筆者にはそう映ったが、吉田は不満そうな様子を微塵も見せなかった。
「もう切り替えて、1球1球できたと思います」
微妙な判定の直後に失投を捉えるまで、吉田は何を思っていたのだろうか。胸の内を知りたくて、ミックスゾーンでテレビ局のインタビューに1分20秒ほど答えて帰路につこうとする吉田を引き留めた。問いかけに返ってきたのは、上記のシンプルな答えだった。
たとえ微妙な判定でも、すぐに頭を切り替える。そして、次の球をひと振りで仕留める。
大一番の勝負どころで仕事を着実に果たすことができるのは、MLBで3シーズンを積み重ねたなか、能力が磨かれていったからだろうか?
「集中力が大切になると思います」
またしても、シンプルな答えだった。余計な言葉がないから、大切な内容が明瞭に伝わってくる。
吉田の集中力と言えば、思い出されるのが前回大会の準決勝・メキシコ戦で7回に放った同点3ランだ。内角低めの変化球を技術とパワーで弾き返した一打は、集中力あってこそだろう。
【理想の4番像はない】
大事な場面で仕事を果たすから、周囲は「4番」として期待したくなる。今回のWBC初戦のチャイニーズ・タイペイ戦後には、ミックスゾーンでこんな質問が飛んだ。
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