検索

中東初のプロ野球リーグが描く奇想天外な新たな野球 ラクダで入場、マネーボール、ファイアーボール... (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

外野席で盛り上がる観客たち photo by Asa Satoshi外野席で盛り上がる観客たち photo by Asa Satoshiこの記事に関連する写真を見る 現地在住のアメリカ人やベネズエラ人、日本人がチケットを購入して入場している一方で、それ以外の客層は、プロモーション期間ということもあり、リーグ当局が招待した南アジアの人々がスタンドの「多数派」を占めている。

 彼らに「野球のルールはわかっているか?」と尋ねると、ドリンクやTシャツ、タオルのお土産つきの"招待枠"らしいたしなみとして、「少しはね」とお茶を濁す。

 ただ、彼らがそれなりに盛り上がるのは、チアリーダーの存在だけが理由ではない。フィールドでプレーするチームが「ムンバイ」「カラチ」と、彼らの母国の都市名を冠していることも大きい。実際、両チームにはインド人やパキスタン人選手が数名在籍し、試合にも出場している。

【17カ国から選手が集結】

「目指すは世界一のウインターリーグだ」

 そう語るのは、アジア担当スカウトで元日本ハムのカルロス・ミラバル氏。その言葉どおり、一昨年以降、これまで二度行なわれたエキシビション・ゲームには、ロビンソン・カノやディディ・グレゴリアスらメジャーで一時代を築いた選手が参加し、その噂は日本にも伝わってきた。

 しかし、彼らは記念すべきシーズン1にはいない。有名選手に頼るのではなく、このリーグの本来の目的である「世界中から新たな才能を発掘すること」へと舵を切ったのだと、リーグ創設者のカッシュ・シャイフ氏は語る。

 その理想に共感したからこそ、20人のメジャーリーガーたちが、中東の砂漠にボールパークをつくり、プロ野球を開催するという、一見無謀とも思えるプランに出資したのだ。

 実際シーズン1には、日本、アメリカ、メキシコ、ベネズエラといった"野球国"の選手だけでなく、インド、パキスタン、フィリピン、さらにイギリス、ドイツ、フィンランド、東欧諸国、南アフリカなど、じつに17カ国から選手が集まっている。

 とにかく野球というスポーツを、エミラティをはじめ、このドバイという街に集まる世界中の人々に知ってもらいたいとの思いから、さまざまな独自ルールが採用されている。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る