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戸田で交錯するヤクルト二軍選手の思い 特守で変わった北村恵吾、支配下に挑む西濱勇星、若手に刺激を受ける川端慎吾 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 今シーズン、川端は一塁の守備に就いてフル出場する試合があった。練習では山崎晃大朗コーチのアメリカンノックで、レフトからライトを走り回る日もあった。

「身体的にはまったく問題ないです。最初の頃は守備に就くと体が張ったりしましたが、これだけコンスタントに守備をこなしていると、体も慣れてきますね(笑)。打撃については、年齢を重ねるにつれて衰えは自分でも感じます。それをカバーするために、経験や衰えを受け入れたうえでコンパクトに大振りしないよう意識して取り組んでいます」

 そうしたなかで、今年は引っぱることを意識した打席が多い印象がある。

「強い打球をずっと打ちたいと思っていますし、引っ張れなくなったらもうダメですし。そこは意識しています」

 15日の楽天戦では「引っ張りにいってました」と、快心の逆転満塁ホームランをライトへ叩きこんだのだった

 8月4日の試合前練習のこと。

「(この前は)やられたな。大丈夫だ、まだ始まったばかりだ」

 青木宣親GM特別補佐が、サブグラウンドでキャッチボールをしているルーキーの中村優斗(22歳)に声をかける。中村は7月31日のDeNA戦で2回5失点を喫して敗戦投手となり、二軍に合流していた。

 一方、メイン球場では、育成1年目の松本龍之介(20歳)が、7年目の山野辺翔(31歳)や濱田太貴(24歳)に助言を受けながら、マシンを相手にバント練習に励んでいた。

 球場に隣接する陸上競技場では、ケガからの復帰を目指す塩見泰隆(32歳)と並木秀尊(26歳)が、ダッシュなどのリハビリメニューを根気強くこなしていた。塩見が球場で動き始めたのは7月2日で、その際「だいぶ(肌が)白い」と笑っていたが、今では戸田の太陽の下で健康的に色づいているのだった。

つづく

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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