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【プロ野球】数値が示した逆転のドラフト ソフトバンク2位指名・稲川竜汰、ホップ成分が切り拓いたプロへの道

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

 今年もさまざまなドラマを生んだドラフト会議。指名された全116人中、支配下に限れば73人。そのうち大学生が40人と半数以上を占め、1位指名は9人(米大学含む)と各球団とも即戦力選手の補強が目立った。

 そのなかで、予想もしなかった上位指名を受けた大学生投手がいた。九州共立大の最速152キロ右腕・稲川竜汰は、ソフトバンクからの2位指名に「名前が呼ばれた時は鳥肌が立ちました」と、興奮気味に振り返った。

今秋のドラフトでソフトバンクから2位で指名された九州共立大の稲川竜汰 photo by Uchida Katsuharu今秋のドラフトでソフトバンクから2位で指名された九州共立大の稲川竜汰 photo by Uchida Katsuharuこの記事に関連する写真を見る

【ケガ明けの投球が評価を一変】

 それもそのはず。昨年の春先に右膝半月板を損傷し、1年間をリハビリに費やした。最終学年の今春リーグ戦から復帰し、今秋のラストシーズンは3勝0敗、防御率0.93でMVPと復活を遂げたが、アピールが遅すぎた感も否めず、「指名があるなら下位かなと思っていた」という。

 しかし蓋を開けてみれば、まさかの高評価に当の本人も驚きを隠せない。プロは稲川のどこを評価していたのか。九州共立大の上原忠監督は「彼の魅力はストレートのホップ成分の高さです」と分析する。

「スピードが上がったからといって打たれないかといったらそうでもないと思うんです。見えないところではありますが、ケガをしている時に相当なトレーニングを積んだ結果が、ホップ成分に現れたのではないでしょうか」

 ホップ成分とは、投げたボールが本塁に到達するまでに重力にどれだけ逆らえるかを示す値。直球は縦回転、バックスピンがかかるほど揚力が生まれ、落下しにくいとされる。これまでは質の高いストレートとして表現されてきた感覚的なものを、はっきりと数値で示すことが可能になってきた。

 NPB投手の平均は40センチ台中盤とされるが、稲川はその数値を優に超えてくる。仮に50センチのホップ成分があれば、打者が空振りをする確率が25パーセントまで上昇。球速と回転量が上がれば、その確率はさらにアップという。

 稲川のストレートの最速は152キロ。近年の大学生投手のなかで、突出して速いというわけではない。球種もカーブ、スライダー、フォークの3種類のみだ。

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著者プロフィール

  • 内田勝治

    内田勝治 (うちだ・かつはる)

    1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう

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