ヤクルト「地獄の松山キャンプ」を若手野手陣が完走 限界突破から見えてきた世界とは? (4ページ目)
メイン球場でのロングティーは「パワー!」と叫び、バックスクリーンをはじめ8本をスタンドに叩き込む日もあるなど、大きな成長を感じさせた。
「来年はもっとレベルアップして、できるだけ早く支配下になりたいです。まだまだそのレベルには達していないですが、フェニックスと松山でちょっとは前に進めたかなと。変化球への対応だったりが、ちょっとよくなったと思います」
守備練習では本職のサードのほかに、「たーかの!」と土橋勝征コーチから叱咤されながらファーストの守備にも取り組んでいた。
【限界に限界はない】
今回の松山キャンプで感じたのは、「限界に限界はない」ということだ。
西村瑠伊斗はキャンプ初日で「もう無理」と言葉を失っていたが、第2クール最終日には「余裕」と、いつもの負けん気を取り戻していた。スイングスピードは、このキャンプでトップクラスの数値をマーク。今夏から取り組んでいたノーステップから、また足を上げるフォームに戻した。
「この2週間で、自分が思ったよりも振れるんだなと感じました。最初は手もボロボロになって、ただやっているだけでしたけど、後半はいろいろとこだわって、考えながらできました。ウインターリーグもあるので、大松コーチと取り組んでいることを継続しながら、来年はもう3年目なのでやらないといけないですし、しっかり結果に結びつけたいです」
最終クールの3日目、中川拓真が「(ロングティーでの)ホームランですか? 20本ぐらいです」と、圧巻のバッティング見せた。
「バックスクリーンの奥のほうにもいきましたし、いい感じで振れました。疲れは溜まっていますが、体の変化を感じていて、振る力、体の使い方、ウエイトトレーニング......この2週間でやってきたことが、全部つながっていると思います」
中川は今年7月、独立リーグの火の国サラマンダーズ(熊本)からヤクルトに移籍。松山キャンプが始まると、「もう無理です。東京に帰りたい」と弱音を吐いていた。
「第1クール最終日に、大松コーチから『自分に甘えているところがおまえのダメな部分だ』とはっきり言われました。次のクールからは"なにくそ魂"というか、絶対にやってやるという気持ちでやったら乗り切れたので、やっぱり甘えていたんだなと。逃げ出さずにやり切ってよかったです(笑)」
4 / 5