ヤクルト「地獄の松山キャンプ」を若手野手陣が完走 限界突破から見えてきた世界とは? (3ページ目)
【キャンプを完走した3人のルーキー】
今回、松山キャンプに参加した野手は15人。メンバーの中心だった長岡秀樹はノック中に右足を痛め、また武岡龍世は発熱のため、大事をとって途中帰京となったが、3人の新人は最後まで必死に練習に食らいついた。
鈴木叶(常葉大菊川高→ドラフト4位)は打てる捕手としての片鱗を見せ、6月12日のソフトバンク戦でスタメンに抜擢されると、4打数2安打2打点の活躍。ただその後は、「まだ1年間戦う体力がありませんでした」と、二軍でも思うような成績を残すことができなかった。
「このキャンプを通じて、まだまだ体力も振る力も足りないと実感しました。最初は練習がきつくて『もう無理だ』と思うこともありましたけど、『一軍に出るため』『自分のため』と思ってやり切ることができました。やっているうちに、力がついてきている実感がありましたし、自分で限界と思ってもまだ振れる力があることに気づけました。来年、一軍に少しでも多く帯同したいです」
伊藤琉偉(BC新潟→5位指名)は「来春のキャンプで(一軍の)沖縄に行くためにも、踏ん張らなきゃと思って乗り越えました」と振り返った。今シーズン、一軍で6試合に出場。一度だけ打席にも立ったが、ヒットはならなかった。
「初日が終わった時には、正直、これがあと2週間も続くのかと思いました。でも、いま思うとあっという間で、今までにないくらい振り込んで、守備もたくさん練習できました。限界に近い状態でも、気合いで振れたので、自分って意外とこのくらいできるんだなと。あとは声が以前より出るようになりました(笑)。自分にはまだ台湾のウインターリーグがあり、これまで取り組んできたことを出せるように。そして来年の2月、沖縄キャンプに呼ばれて、そこで食らいついて一軍に残っていることが目標です」
高野颯太(三刀屋高→育成2位指名)は、このキャンプで誰よりも必死に取り組んでいることが伝わってきた。30分で約500スイングするメニューでは、足を痛めて倒れたが、なんとか立ち上がりやり遂げた。
「足が攣(つ)っても、支配下の人より振らなければいけないと思ったので、頑張ろうという気持ちでした。その後もたまに攣ることがありますが、体もメンタルもちょっと強くなったのかなと思います」
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