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ヤクルト「地獄の松山キャンプ」を若手野手陣が完走 限界突破から見えてきた世界とは? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 3年目の小森航大郎は「限界を超えたら、また限界が来ます」ということを実感したという。今季は二軍で盗塁王を獲得。身長173センチながら身体能力にすぐれ、パンチ力も秘めている。

「投げ出したくなることもありましたけど、コーチや裏方の方たちが『頑張れ!』と鼓舞してくれて、やらなければいけないという気持ちになりました。そのなかで、しっかりフォームを保ったままスイングできたと思っています。フォームが崩れたらいくら振っても意味がないので......。打球速度は置きティーで164キロ出ましたし、平均打球速度も150キロちょうどくらいです。出力を上げるためには、重たいのをただ振るだけじゃダメだということもわかって、やりたいことがたくさん見えてきました」

 橋本星哉は、今年5月に育成から支配下登録された2年目のキャッチャーだ。広角に強い打球が打てることをアピールポイントにしており、このキャンプでは捕手のほかにサードにも挑戦した。

「きつい練習を繰り返していくうちに、弱音は吐いてないのですが、『まだ終わんねぇのかな』と思ったり、自分はまだ弱いんだなと実感しました。シーズン中もそういうところがあったので、好不調の波が激しいのはそういうところから生まれてくるのかなと。ただキャンプ後半になると体も慣れてきて、サボろうとかじゃなく、うまく抜くことを覚えられたような気がします。いいキャンプを過ごせました」

 大松コーチは選手の限界を引き出す練習をしながら、「感情をむき出しにして食らいついてくる選手と、苦手なことに関してスイッチが入らない選手がいました」と話した。

「ファームの選手は接する機会が少ないですから、選手の性格やどういうタイプなのかを把握できたことは大きかった。最初は投げ出し気味だった選手も、次のバッティングの時には自分自身すごくポジティブなことをかけてやっていた。自分たちが真剣にぶつかれば、選手たちにもしっかり伝わるんだなと。こっちも覚悟を持って、根気強くやらなければいけないと思いました」

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