篠塚和典は「笑ってんじゃねぇよ!」、元木大介は「ずっとバントやっとけ」 長嶋茂雄の激怒エピソードをふたりが明かした (3ページ目)
元木 僕も現役時代、何度かミスターに怒られました。9回裏に江藤智さんが満塁ホームランを打って4点差を追いつき、二岡智宏のサヨナラホームランでリーグ優勝を決めた試合(2000年9月24日の中日戦)です。僕が9回裏の先頭打者だったので、手袋をつけるなどして打席に入る準備をしていたら、「大介みたいに引っ張ってんじゃねぇぞ!」ってミスターが急に怒り出したんです。
「え? 今、俺の名前言った? これはやばい」と思って、「何が何でも右に打とう」と。そうしたら、たまたまライト前にヒットを打てて......でも、あの時は本当に焦りましたよ。その後に劇的な展開になったので、僕のライト前ヒットは忘れられていると思いますが(笑)。
それと、先ほどのシノさんの話と似ているんですが、甲子園での阪神戦の第1打席でバントのサインが出て、初球をピッチャーフライにしてしまったんです。そうしたらミスターが、「ブルペンに行って、ずっとバントやっとけ」と。試合中ずっとバントの練習をしていました。たまに、ホームランが出たのか、歓声が聞こえてきたりしましたが、誰が打ったかもわかりませんでした。
翌日は広島市民球場に移動して練習の日だったのですが、その日もずっとバント練習。練習メニューにも赤ペンで「元木 バント」って書かれていて(笑)。2日間ずっとバントをやっていたので手がパンパンになりましたよ。そういう点は、ミスターは厳しかったですね。
【まだまだあるミスターの強烈エピソード】
――長嶋さんは、エピソードに事欠きませんね。
篠塚 そうですね。あと、やっぱりミスターは何か"持ってる"。
元木 オーラが違いますよね。試合前の練習にミスターが姿を現した瞬間、自分が遠くにいても、グラウンドに出てきたのがわかりますからね。球場全体が引き締まるというか、そこに光が当たるというか......やっぱり長嶋さんがいる場所だけは雰囲気が違いました。
篠塚 守備練習の時に、実際にミスターが動いてお手本を見せてくれたりすることもあったけど、それも楽しかったよね。ボールを使わない"エアー守備"というのかな。ボールの捕り方やスローイングをやってくれてさ。
元木 あと、練習中に結構話しかけてくれますよね。
篠塚 そうだね。若い頃、特打をやっている時のことも強烈に覚えてるよ。ミスターが肩をぐるぐる回しながら外野を走っていて。「これは、まさか投げるのかな」と思っていたら、案の定センターのほうからバーッと走ってきたんだよ(笑)。
元木 それで、バッティングピッチャーをやってくれたんですか?
篠塚 そうそう。
元木 それは、すごいですね。
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