篠塚和典は「笑ってんじゃねぇよ！」、元木大介は「ずっとバントやっとけ」 長嶋茂雄の激怒エピソードをふたりが明かした (2ページ目)

【ミスターの怒りを買った出来事】

――篠塚さんは、元木さんの守備をどう見ていましたか？

篠塚　複数のポジションをこなせる器用さがありましたし、バッティングでも守備でも状況を冷静に判断できる選手でした。ミスターをはじめ、歴代の監督は使いやすかったと思いますよ。大介も試合に出られるならどこでもいい、というスタンスでいたでしょうし。

　そういえば、俺がコーチになってから、広島市民球場での試合でミスターに怒られたことを覚えてる？

元木　......覚えていませんね。

篠塚　何年かは忘れたんだけど、５回終了時のグラウンド整備の時に、俺と大介が話していて。その時に大介が何か面白いことを言って、俺が笑ったんだよ。そうしたら、ちょうどミスターと目が合っちゃって、「篠塚、笑ってんじゃねぇよ！」って怒られた。大介が俺を笑わせたからだよ（笑）。

元木　すみません（笑）。

――ちなみに、どんな話をしていたんですか？

篠塚　すっかり忘れちゃいましたね。ただ、コーチ時代にミスターに怒られたのは、この時が初めてでした。

――現役時代に怒られたことは？

篠塚　言葉で怒られることはあまりないのですが、消極的なプレーには厳しかったです。初めて一軍に呼ばれた時のオープン戦で、ミスターから前もって「先発で起用するから、（地元の）銚子から家族を呼べ」と言われていたんです。それで後楽園球場での試合に家族を呼んだのですが、１打席目に見逃しの三振をしてしまったんですよ。

　それでミスターを怒らせてしまって、「"穴ぐら"に入って打っとけ」と。後楽園のライトスタンドの下にバッティングマシーンを設置している場所があり、そこを"穴ぐら"と呼んでいたのですが、試合が終わるまで（そこで）打っていました。それ以降は「多少のボール球は打っていかないといけない」と思って、ベース板からどのくらい離れたところまでバットが届くか、といったことも練習で試しました。見逃しの三振だけはしないように意識するようになったのは、自分にとってはすごくいい経験でしたね。