西武・隅田知一郎が振り返る1年目に痛感したプロの壁 「打者の弱点を見つけるのが難しい」 (4ページ目)
隅田の取材を終えたあと、恩師である西日本工業大の武田啓監督にも話を聞いてみた。武田監督に取材の様子を伝えると、「いい意味で何にも変わってないですよ」と笑った。その口ぶりは、どこか誇らしげでもあった。
「大学時代から周りに左右されず、自分を持っている男です。それでいて、人から吸収する柔軟性もあるし、違うと感じたら『僕はこう思います』と言える。プロでもいろんなものを吸収して、マウンド姿に成長を感じますね」
そして、武田監督は思いを込めてこう続けた。
「隅田によく言うんですよ。『16勝くらい勝て』って」
今の隅田の力量と進化スピードを考えると、「16勝」はじつにリアリティのある目標数値に感じられる。
武田監督の期待どおりの成績を収めたその時、隅田は名実ともに日本を代表するにふさわしい左投手になっているはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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