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元阪神のエース・川尻哲郎の今 「飲食店をやるつもりは全くなかった」ものの新橋で出店した理由 (2ページ目)

  • 石塚隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 長谷部英明●撮影 photo by Hasebe Hideaki

【お客さんが「たまに勝つから楽しいんだ」って】

── あの当時があったから今がある。

川尻 ええ。今こうやって飲食店をやっているけど、僕のことを覚えてくれている人が来てくれるから仕事ができている。僕がいた時代の阪神は弱かったけど、それでも応援してくれた人っていうのは、本当にありがたい存在です。お客さんに「何で弱いのに応援していたの」って聞くと、「たまに勝つから楽しいんだ」って。今じゃ考えられないよね(笑)。

── 川尻さんは引退後、解説者や独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスでコーチや監督を経験して、2021年にここ東京・新橋にスポーツバー『TIGER STADIUM』を開店しています。始めるきっかけは何だったんですか?

川尻 実は、飲食店をやるつもりは全くなかったんですよ。経験もないし、得意分野じゃないと思っていたから。ただある時、阪神ファンが集まるイベントで、チームOBとして解説みたいなことを何度かやらせてもらって、こういうのを自分でやったらどうなんだろうって思ったのがきっかけだったんですよね。

── 阪神ファンが集えるお店を、OBが経営する。

川尻 東京には阪神ファンが集まれる店は少ないし、ましてやこういう感じでOBがやっている店はないから独自性が出せるかなって。飲食店をやっているOBはもちろんいるけど、ここまで阪神色を出している店はないし、皆が喜んでくれる場所を提供できればいいかなって。僕としても愛着のある野球や阪神をコンセプトにした場所で生きるのが、一番ストレスが掛からないというか。もちろん大変なことはありますけど、今はこれでいいのかなって思っていますよ。

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