神宮球場「ビールの売り子」に密着取材 重要なのはコミュニケーション能力、シフトに入るための「レギュラー争い」も?

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • 立松尚積●撮影 photo by Tatematsu Naozumi/神谷年寿●動画 movie by Kamiya Toshihisa


「ビールの売り子」に密着取材@神宮球場 前編(全2回)


【暑さに負けずスタンドを右へ左へ】

 暦の上では秋を迎えているというのに、まだまだ暑い日が続いている。それだけに、野球を観ながらの一杯は格別なのだろう。

「球場で飲むビールは最高です! 一番うまい!」

 神宮球場の内野上段でグループ観戦していた中年の男性がビールを飲むペースは早く、試合はまだ序盤の2イニング目だというのに、すでにカップを3杯分も空にしていた。

 他の観客がビールを飲み干すペースも早く、ビールの売り子もスタンドを上へ下へ、右へ左へと忙しなく動き回っていた。

試合開始前からスタンドに入ってビール販売をスタート試合開始前からスタンドに入ってビール販売をスタートこの記事に関連する写真を見るこの記事に関連する写真を見る 8月半ばのこの日、東京ヤクルトスワローズが迎えるのは横浜DeNAベイスターズ。夏休みも終盤に差し掛かり、チケットはソールドアウトとなっていた。満員の観客に対応するべく、この日は160人の売り子がビールを注いで回っていた。

「今日はお子さまを対象にしたイベントがあり、夏休みということもあって、多くの子どもたちが来場されています。当然、アイスやソフトドリンクは売れるんですけど、ビールはあまり売れないんですよね」

 明治神宮野球場販売部の安留大貴さんがこう話すのが、にわかには信じられないほどだ。これでも少ないほうなのであれば、売り上げが多い日はどれほど忙しいのだろうか。おそらくバックヤードは想像を絶するほどの慌ただしさで戦場と化しているのではないだろうか......。

明治神宮野球場販売部の安留大貴さん明治神宮野球場販売部の安留大貴さんこの記事に関連する写真を見る

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