ヤクルト投手陣がキャッチボールでキャッチャーミットを使うミステリー 田口麗斗が「その効果」を明かす (4ページ目)
田口は冒頭でも触れたように、石川にキャッチャーミットを貸し出し、高橋には進呈しており、2021年頃からキャッチャーミットを使ったキャッチボールをはじめたという。
「使う意味合いとしては、グラブを上手に扱うところが僕のほしかったところで、遠心力や重さを感じながら使う感じを身につけかったんです。たとえば、右手で壁をつくったりだとか、いろいろな扱い方があるんですけど、それを自分が操作したほうがいいのか、しないほうがいいのか......」
そのことを考えた結果が、キャッチャーミットを使うことだった。
「ふつうのグラブは小さくて軽くて扱いやすいので、試合になるとどうしても腕を早く動かしてしまうことがあります。そうならないように、重いものを扱っても腕を丁寧に使えばちゃんと投げられる。そのことを頭のなかに刷り込ませる意味でやっています。この1、2年は自分でもレベルアップしていると感じますし、出力も上がっている。その効果は出ていると思います」
ピッチャーがキャッチャーミットを使ってキャッチボールをする。興味本位で取材を始めたのだが、選手たちの言葉の数々にピッチャーに対する敬意はより深まるのだった。
著者プロフィール
島村誠也 (しまむら・せいや)
1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。
フォトギャラリーを見る
4 / 4