「ハンソンの日ハム電撃移籍」を仕掛けたBC茨城が再び元メジャーリーガー獲得 敏腕GMがNPBに売り込みたい次の逸材は?
元メジャーリーガーのアレン・ハンソンをNPBのシーズン開幕から約1カ月後に日本ハムへ送り出したBCリーグ・茨城アストロプラネッツに、MLB経験者がまたひとり加入する。198cmの大型右腕投手、フランクリン・キロメ(ドミニカ共和国)だ。
ニューヨーク・メッツ時代の2020年には96マイル(約154.5キロ)を計測。メジャー経験はわずか4試合で、キャリアのほとんどをマイナーリーグで過ごしてきたが、ポテンシャルを秘める27歳だ。アストロプラネッツの色川冬馬GMも太鼓判を押す。
「高身長ながら非常にスムーズなメカニクスで、豪速球を投げるだけでなく、スライダー、カーブ、チェンジアップで空振りも取れる。先発もできる点はNPBだけでなく、台湾や韓国球界からも非常に評価されます。プレーした期間こそ短いけれども、メジャーに行くだけの力があり、3Aで投げていたということは、野球界で評価される能力が一定値を超えているからです」
2020年はメッツでプレーしたフランクリン・キロメこの記事に関連する写真を見る BCリーグでは、選手に支払える給料の上限が定められている。独立リーグは日本にも30球団近くあるなか、なぜ茨城に多くの選手が惹かれて来日するのか。
大きな理由は、色川GMのコネクションと交渉力だ。
キロメは4月25日、3Aのロチェスター・レッドウイングスからリリース(契約解除)された。一方、ハンソンの日本ハムへの移籍がまとまったのは5月8日。実は、ふたりの移籍は間接的に結びついている。
ハンソンは4月23日に来日し、翌日からアストロプラネッツに合流した。色川GMは実力の違いをまざまざと感じると、パフォーマンス動画をNPB各球団の担当者に送り、移籍に向けてアピールした。
今季開幕直後の日本ハムは、ケガ人が続出して苦しんだ。そこで新戦力の獲得に動き、ターゲットになったのが「両打ち、内外野を守れる」ハンソンだった。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。