「ハンソンの日ハム電撃移籍」を仕掛けたBC茨城が再び元メジャーリーガー獲得 敏腕GMがNPBに売り込みたい次の逸材は? (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

【NPBが獲得しやすい選手を厳選】

 日本ハムがアストロプラネッツにオファーを出し、交渉が合意に達してから書類の作成までに要した時間はわずか1.5日。こうして5月8日、NPBのシーズン開幕から約1カ月後、アストロプラネッツ合流から約2週間後という異例のスピードで移籍がまとまった。

 独立リーグ球団には選手を送り出すと移籍金が入り、球団経営にとって大きいが、当然戦力はダウンする。今季、NHKの元ディレクターという異色の新監督を迎えたアストロプラネッツにとって、開幕から黒星を重ねているなかでのハンソン放出だった。

 どん底に沈むチームにカンフル剤を打つという意味合いも込めて、色川GMは次の助っ人を探した。ユーティリティ野手を放出した一方、ターゲットに定めたのは先発投手だった。

「チームの勝利に対して貢献度が高いのは先発投手です。だから、どのチームでも給料が高い傾向にあると思います。リストアップする際に考えたのは、NPBが獲得しやすい選手。さらに、うちの球団にとってもベストで、本人にとってもいい選択になり、ファンも見ていて楽しくなる選手。今流行りの『四方よし』になればと思いました」

 色川GMのもとには、知り合いのエージェントや非公式代理人からマーケットに出ている選手(FA=フリーエージェントの選手)の売り込みが頻繁に届く。それらも含めて情報を集め、6、7人の投手をリストアップした。

 最初に契約しようとしたのは、ほかの元メジャーリーガーだった。その投手がサインを渋っている間、浮上してきたのがキロメだ。

「これは行けると思い、大胆に舵を切りました。投手として獲得したい条件に合致していたことはもちろん、テレビ電話で面談中、穏やかな人間性も感じられました。自分の現在地と野球界の常識を理解している点、自分を言語化できるところも魅力的でした」

 今季開幕前に行なったハンソンとの交渉には2カ月を費やしたが、キロメの場合は1週間でまとめ上げた。ロチェスターを3試合の登板でリリースされたキロメは、シーズン中にプレーする球団がなくなる危機感を十分にわかっていた。そうして5月30日に契約合意、労働ビザの取得を経て6月23日に入団を発表した。

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