【谷繁元信のセ・リーグ順位予想】3連覇のかかるヤクルトは「投手陣が少し不安」ポジション固定の阪神が1位、中日が「不気味」 (3ページ目)
【5位予想:中日】
順位予想で一番迷ったチームです。投手陣は先発の大野雄大、小笠原慎之介、柳裕也などがいて、ブルペンも抑えのライデル・マルティネス、セットアッパーのジャリエル・ロドリゲス、清水達也や祖父江大輔、藤嶋健人と層が厚い。5位予想としましたが、打線次第では上位に行けるような"不気味さ"を感じます。
昨季には外野手の岡林勇希が最多安打を獲得、ベストナインとゴールデングラブ賞にも輝きました。ショートには今季から登録名を変えた「龍空」(昨季までは土田龍空)もいますし、新人野手では大卒の田中幹也、村松開人を獲得しました。現役ドラフトで加入した細川成也も打撃にいいものを持っています。2021年ドラフト1位のブライト健太もアピールしていますし、昨年7月に左膝前十字靱帯の再建術を受けた石川昂弥も戦線復帰してくるでしょう。
投手陣にはロースコアに持ち込めるような安定感があるので、名前を挙げた選手たちが力をつけて打線がうまくまわり始めれば、上位に行く可能性も十分にあると見ています。
【6位予想:広島】
最下位の予想としましたが、広島も力はあるチームです。昨年肩のコンディション不良だった大瀬良大地は8勝9敗に終わりましたが、今年は順調にきている様子です。クローザーの栗林良吏は腰の張りでWBCで1度も投げずに離脱、先発の森下暢仁はオープン戦期間に右肘の違和感を訴えましたが、大ごとではなく何よりです。
ブルペンを見ると、栗林につなぐ前の森浦大輔、ケムナ誠、松本竜也、矢崎拓也など、経験を積んだ投手がかなり増えてきました。ストレートに力がある島内颯太郎や、来日2年目のニック・ターリーもいるし、新人では先発候補の益田武尚、ブルペンで期待される河野佳も加わっています。ピッチャーの起用パターンが確立されていくと、安定した戦いができるようになると思います。
打線は長打力こそそれほどないものの、足を絡めた攻撃もできますし、昨年後半に見せたようにつながりもあるチームです。秋山翔吾、野間峻祥、西川龍馬ら力のあるバッターが上位に並び、相手バッテリーからすれば「嫌な」打線に映るでしょう。
以上のように、チームごとに見ていくとセ・リーグ6球団の力はかなり拮抗しています。当たり前の話ですが、何か歯車が狂ったところが下の順位に落ちていくでしょう。
裏を返せば、どこも上位を狙える可能性があるということです。最下位に予想しましたが、広島の優勝もあると思います。そういう意味で、白熱したシーズンになることが期待できそうです。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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