新井貴浩監督が語るカープ再建への決意。「大前提はチームが勝つこと。輪を乱す者には容赦しない」 (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Nishida Taisuke

── 藤井コーチとは、阪神時代に4年間一緒にプレーされています。

新井 同級生でビジターの時はしょっちゅう一緒に食事に行っていました。ずっと野球の話をしていて、彼がどういう考えを持っているのかというのはわかっています。また、引退してからすぐにBCリーグの福井にコーチとして行き、タイガースの二軍コーチ、一軍コーチも歴任して、経験もある。

 現役の時から、彼の視野の広さや深さに何度も驚かされて、すごいなといつも思っていました。プラス、本当に周りを大切にして、コミュニケーション能力も高い。なんとかヘッドコーチをやってもらいたいと思っていたんです。

── 藤井ヘッドコーチのほか新任コーチ陣も加わった秋季キャンプでは、コーチ間の連携をとりながら、しっかりまとめていた印象が強くあります。

新井 まだ秋季キャンプだけですが、自分にはない見え方をジェイ(藤井コーチ)はしているなと思いました。さすがキャッチャーだなと。秋季キャンプに遅れて合流したしなかで、こちらが「なるほどな」と感じることが多々ありました。

── コーチ陣で共有されている指導方針はあるのですか?

新井 ジェイや(新井)良太(二軍打撃コーチ)も言っているけど、「一方通行は嫌い」と。「あれしなさい」「これしなさい」は好きじゃない。やっぱり、対話をしないといけないと思っています。対話をしたなかで一緒になって上達していくものですから。それはレギュラーだけでなく、若い選手にも「どう考えているの?」とか、「じゃあ、こうしてみたらいいんじゃないの?」とか、教えることよりも気づかせることが大切だと思っています。それがコーチの仕事だと。

 もちろん時と場合によりますが、これが絶対という時には「こうやったほうがいいぞ」と言う時もあるでしょう。ただ、そう言った時には放り投げるのではなく、根気強く見てあげないといけない。言ってすぐできることもあれば、できないこともある。言いっぱなしはいけません。

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