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「ヒットを打たなくていい」。元日本ハム・森本稀哲の野球人生をヒルマン監督の言葉が変えた (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――調子が上がらない時にかけられた言葉で、覚えているものはありますか?

森本 2005年の交流戦の横浜戦で大敗したあと、監督室に呼ばれたんです。僕は「二軍行きの話をされるのかな」と思っていたのですが、「明日、スタメンでいくぞ」と。「ヒットを打たなくていいから、戦う姿勢を見せてハッスルしてくれ。とにかくチームに勢いをつけてくれ」と発破をかけてくれて、実際に翌日の試合では1番で起用されました。チームを奮い立たせる起爆剤として、僕に白羽の矢が立ったんだと思います。

 まさか「ヒットを打たなくていい」と言われるとは思っていなかったので驚きました。それで、とにかく気持ちを前面に出していこうと試合に臨んだんですが、まったく打てず......。それでも次の日の練習中に、「昨日の向かっていく姿勢は本当によかった。今日もスタメンでいく」と話してくれて。起用を続けてくれ、その2試合後になんとかヒットを打てたんです。

 それまではレギュラーを獲りたい一身で、「結果を出さなきゃいけない」と必死になって空回りしていました。自分のいい部分を出せなかったのですが、ヒルマン監督の言葉で気持ちがスッと楽になって、徐々に結果が出始めるようになります。僕が勝手に背負っていたプレッシャーから解放された感じがしましたね。僕の一軍での野球人生が始まったのは、この時からです。

(後編:ヒルマン政権の日本ハムはなぜ強かったのか。森本稀哲が感じた、選手の集中力を生むメリハリ>>)

◆森本稀哲さんのYouTubeチャンネル

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