宮﨑敏郎「他球団の評価を聞いてみたい気持ちもあった」。それでも生涯DeNAを宣言、今季への思いと「天才」と評する若手を語った
昨年9月には通算100本塁打を達成した横浜DeNAベイスターズ、宮﨑敏郎この記事に関連する写真を見る 昨シーズン、最下位でリーグ戦を終えた翌日、宮﨑敏郎に一気に注目が集まった。宮﨑がクローズアップされたのは取得したFA権を行使するのかどうか、その動向だった。
果たして、横浜DeNAベイスターズに残留するのか、それとも行使して移籍するのか──。
最終的にFA権は行使せず、6年契約という三浦大輔監督が現役時代に結んで以来の大型契約が結ばれた。
「勘違いかもしれないけど、必要とされているのかなと」
契約後、宮﨑の謙虚なコメントが印象的だったが、ここ数年、主力選手がFA権を取得したあと、他チームに移籍していったなか、横浜への愛情を感じる決断だった。
「年齢的には、最後のFA権でしたので、他球団の評価を聞いてみたいという気持ちもありました。シーズン中から球団とお話をさせていただいたんですが、6年契約は本当にびっくりしました。年齢もありますし、想像していなかったので、球団の熱意を感じました。ベイスターズで現役を全うできればいいですね」
2013年に入団して以来、ベイスターズのプレーヤーとして現役を全うする覚悟を決めたわけだが、その根底にはチームやファンに対する愛情が感じられる。
「僕は横浜が好きですし、このチームが大好きなんです。それにベイスターズのファンは、ファミリーみたいな存在なんですよ。不甲斐ない試合をすると厳しく叱咤激励してくれるし、いい試合をすると喜んでくれる。いい意味ではっきりしていますので、常に頑張らないといけないという気持ちにさせてくれます」
宮﨑は、笑みを浮かべてそう語った。
【DeNAの昨シーズンを振り返って】
一転、昨シーズンのチームについて話をすると表情が少し硬くなった。昨年チームは、開幕当初、外国人選手がコロナ禍の影響で来日できないというアクシデントがあり、なかなか戦力が整わないなかでの戦いをしいられ、最終的に54勝73敗16分で最下位だった。
「最下位というのは、選手はもちろん、チーム全体で受け止めないといけない順位ですし、反省すべき点はたくさんあります」
個人成績は、打率301、ホームラン16本、73打点だった。
「正直もっとできたんじゃないかなと思います。成績で言うと、シーズン中、大事なところで回ってくることが多かったので、打点でもっとチームの勝利に貢献できたのかなと。その時は、悔いがないように打席に立っていますが、あの時に1本出ていればと思うこともありました」
チームの勝利に直結する打点が足りなかったことに悔しさを見せる。数字で言うと、宮﨑はベイスターズの選手のなかで、唯一と言ってもいい記録の持ち主でもある。じつは入団以来、犠打と盗塁がゼロなのだ。ちなみに同チームの佐野恵太は2018年に盗塁をひとつ決めている。
「佐野が決めているんですか。おかしいなぁ(苦笑)。すぐに足が速くなるのは難しいですけど、なんとかひとつは走りたいですよね」
宮﨑がスチールを決めたら......横浜スタジアムは、ファンの歓声と拍手でホームラン以上に沸騰しそうだ。
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