2022.01.09

ジョニー黒木が語る印象深い打者5人。イチローよりも生涯打率.250の打者に苦しんだ

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Sankei Visual

「ジョニー」の愛称で親しまれ、1998年には最多勝、最高勝率のタイトルを獲得するなど、ロッテのエースとして一時代を築いた黒木知宏氏。イチローを筆頭した同世代の強打者と数々の名勝負を演じてきた黒木氏に、今も忘れることのできない思い出のバッター5人を挙げてもらった。

「魂のエース」として数々の名勝負を演じてきた元ロッテ・黒木知宏氏「魂のエース」として数々の名勝負を演じてきた元ロッテ・黒木知宏氏 この記事に関連する写真を見る 【同世代の強打者たち】

 僕の同世代(1973年)には球界を代表する打者が数多くいたのですが、そのなかでもイチロー(元オリックスなど)は別格でした。どれだけすごいバッターなのかはいまさら説明不要ですが、とにかくバットの芯に当てる技術は群を抜いていました。

 普通、投手というのはストライクゾーンのボール1つ分外のコースをいかに振らせられるかを考えるのですが、イチローはそこをヒットにしてしまう。なので、さらに1つ分外に外すと明らかなボールゾーンですから見逃されてしまう。結果、カウントが苦しくなってストライクで勝負するとやられてしまう。その繰り返しでした。

 イチローを打ちとるにはどうすればいいか、本当にいろんなことを考えました。タイミングを外しても、バットコントロールが長けているから泳がしても、詰まらせてもヒットにしてしまう。ならばと、ルーティンのタイミングを外そうとしても、結局はイチローの間合いにされてしまう。ホントお手上げ状態です。結局、イチローに攻略法など存在しなかったわけです。だから、目をつぶってど真ん中に投げて打ち損じを狙うとか......それぐらいしかなかったですね。

 でもイチローとの対決は、怖いとか、やりづらいというよりも、ただただ楽しかった。あれだけのバッターと対戦できるというのは、そうあることではないですからね。同じ時代に生きた者として幸せな時間でした。

 イチローのほかにも同世代には中村紀洋や松中信彦といったスラッガーがいましたが、小笠原道大(元日本ハムなど)も特別な選手でした。

 ピッチャーとして嫌なのは、コツコツと当てられるのではなく、フルスイングされることなんです。短打を重ねられるよりも、一発長打というのが怖い。