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宮﨑敏郎「他球団の評価を聞いてみたい気持ちもあった」。それでも生涯DeNAを宣言、今季への思いと「天才」と評する若手を語った (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 産経新聞社

【若手選手とのコミュニケーションも積極的に】

 さて、チームは昨年、なかなか浮上のきっかけをつかめなかったが、そのなかで宮﨑が果たした役割は、どんなことがあったのだろうか。

「若いチームなので、ふだんは若さがあって元気もあって、むしろ僕らが引っ張ってもらっている感じですけど、状態が悪くなるとしょんぼりしがちなんです。そういう時は自分たちが引っ張っていかないといけない感じでしたね」

 試合前の練習では、若手によく声をかけているシーンが見られた。

「とくに何かを言うわけじゃないですけど、ただ初めてスタメンで出る選手は緊張していると思うので、僕も緊張していますけど、そういう時はなるべく声をかけてコミュニケーションを取るようにしています」

 33歳のベテラン選手がいまだに緊張するというのは驚きだが、それだけ新鮮な気持ちでグラウンドに立っているということなのだろう。ただ、言葉やそういった姿勢を見せられると若手もホッとする。宮﨑さんでも緊張するんだと思えば、少しは気持ちをラクにして打席に立てる。若手が宮﨑の声に耳を傾けるのは長年結果を出してきたのもあるが、優しげな表情で話を聞いてくれたり、話をしてくれるからだ。それが影響しているのだろうか、宮﨑のニックネームは、「ハマのプーさん」だ。

「プーさんと言われたのは、入団した時からですね。最初のミーティングから当時の山下(大輔)監督に宮﨑じゃなくて『プーさん』って呼ばれていました(苦笑)。全然嫌ではなく、そうしてみなさんに名前を憶えてもらったので、ありがたかったです」

 今では「ハマのプーさん」の愛称がチームやファンの間でも定着しているが、宮﨑といえば、おしゃれな髭が特徴で香水をつけて打席に入るのもよく知られている。

「髭は3ミリに整えています。3ミリが濃くもなく、薄くもなく一番スッキリして見えるので。2017年から手入れをしているので、もう5年ですね。香水は試合中に香りをまとうと集中力が増すと言いますか、リラックスして打席に入れるんですよ。さわやかな香りが好きですね」

 宮﨑の最大の魅力は、左足を上げた独特のバッティングフォームから生まれる豪快なフルスイングだ。

「バッティングフォームは、小学生の頃、体が小さかったので、なんとか遠くに飛ばそうと思ってフルスイングしていたんです。特に誰かのマネをするとかもなくて、それが一番遠くに飛ぶ打ち方だったので。指導者からも好きなように打っていいよって言われていましたし、フォームを変えろとも言われなかったので、今も子どもの頃と同じです(笑)」

 その頃から三振も少なかったと言う。三振の少なさは宮﨑の特徴のひとつでもあるが、それは早打ちもあるし、打つポイントが自分に近いので空振りすることが少ないからでもある。たまに、ファールを打つ練習をするなど三振をしない取り組みもしている。

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