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阪神・西純矢が語る「佐々木朗希ショック」から初先発初勝利まで。"現実"を味わう日々にも「大丈夫」 (5ページ目)

  • 菊地高弘●取材・文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 雅和さんは2017年秋、愛息の試合の応援に出かけた帰路で倒れ、帰らぬ人となった。とはいえ、雅和さんの言葉は今でも西のなかに息づいている。

 高校2年夏の甲子園で派手なガッツポーズを繰り返したのは、天国の父へのメッセージだったーー。そんなストーリーが周囲から語られたこともあった。だが、西は苦笑しながら「それはさすがに美談にしすぎですよね」と否定する。

 もし、いま雅和さんに何か伝えられるとしたら、どんな言葉をかけたいか。そう尋ねると、西は少し考えてからこう答えた。

「まずは、小さい頃からの『プロ野球選手になりたい』という夢を実現できたことを報告したいですね。あとは、自分の持ち味である強気なピッチングを見てほしい。ピンチの場面でもどんどんインコースを突いて、粘り強く抑えていく。それは父に限らず、いろんな人に見ていただけたらな、と」

 気迫は込めていても、今はもう高校時代のように帽子を振り飛ばすような荒々しさは影を潜めている。そもそも、高校時代から西は「帽子が落ちるということは、バランスがよくないということ」と否定的に語っていた。プロ入り後にフォームのバランスに悩んだ時期もあったが、それも徐々に改善されている。

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