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時空を超えて現れた「昭和のスラッガー」
DeNA宮﨑敏郎の正体 (5ページ目)

  • 山口愛愛●文 text by Yamaguchi Aiai
  • photo by Jiji photo

 その屈辱から這い上がり、着実に数字を伸ばし、昨年は101試合に出場。主に5番を任され、打率.291、ホームラン11本、打点36とキャリアハイの成績を残し、チーム初のCS進出に貢献した。宮﨑の成長が感じられる1年であったが、それでもCSファイナルステージで広島に敗れると、ラミレス監督は会見で厳しいコメントを発した。「筒香と勝負してもらえる5番打者が必要だと思いました」。

 小川コーチは言う。「特に今調子がいいので、コンディションには気をつけてほしいと思っている。本人もケアしているし、僕たちもそこは気を使っている」 

 宮﨑が毎日のように球場に早く入っていることを聞いてみると「自分のルーティンや準備、試合までの時間を逆算してうまく使っているなと思う。コンディションは常に100%ではないかもしれないが、多少コンディションが悪くても試合に出続け、結果を出せるようになっている。昨年の後半、試合に出続け、キャリアハイの成績を残したことが今年につながり、いい方向に向いている」。そしてこう続ける。「現時点で、筒香の後を打つのは宮﨑がベストだと思う。チームにとって、いないと困る存在になっている。監督との信頼感を意気に感じてやっていることでしょう」。

 打線について、「5番の宮﨑がいい仕事をしている」というのはラミレス監督。もともとバッティング技術が高く、コンディションだけが心配されていた宮﨑が念入りな準備で好調を維持している今、無双状態といえる。奇跡ではなく、コツコツと努力を積み重ねた"軌跡"が作り出す宮﨑のバッティングは、もはや不変のものだろう。5番宮﨑が控えた重量クリーンナップが機能すれば、チームの上の順位も見えてくる。

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