時空を超えて現れた「昭和のスラッガー」
DeNA宮﨑敏郎の正体 (2ページ目)
宮﨑を語る上で欠かせないのが独特なバッティングフォームだ。軸足の右足にほとんどの重心を乗せ、左足は添えるようにして踵(かかと)を浮かせている。構えのスタンスは極端に狭く、グリップは胸の下あたりの低い位置。そこから投手の始動と同じくらいのタイミングで早めに左足を高く引き上げる。小学生のころから変わらないフォームだ。
小川コーチは、「あまり身体が前にいかずに右の軸足を中心にその場で回ることで、ボールを引きつけられるし、変化球も見極められています。いろいろなタイプがいるけど、宮﨑のタイミングの取り方では右足1本で立つような形がベスト。そこから踏み込んでいくときの、トップをつくるときの"間"の状態で、右のラインがキレイに真っ直ぐになっている。だからポイントがしっかり定まっていて、打つべき球をしっかりとらえられるんです。今はすべてにおいてベストの状態」と太鼓判を押す。
DeNA戦中継の解説を担当している田淵幸一氏も「グリップが低めで、力まずに肩の力がストンと抜けているのがいい。右足に体重を乗せて軸回転しているから、外のボール球を追いかけないし、インコースは下半身からクルっと回って押し込める。インコースのさばき方は坂本(勇人)、山田(哲人)、宮﨑あたりがリーグナンバーワンでしょうね」と絶賛する。同じく解説を務める佐々木主浩氏も「ファウルで粘れるし、狙い球の絞り方がいい」と語るなど、宮﨑の類いまれなバットコントロールと選球眼を評価する声は多い。
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