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恩師が語る、岩貞祐太が「トラの奪三振王」に急成長したわけ (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そんな心配だった教え子が、今年は変わったという。

「僕が食事に誘っても、アイツ、断るようになったからね。たぶん、僕と食事をするよりもっと必要なこと、やるべきことがあるってことなんだろうね。なんでも『はい!』って受け入れていたヤツが、自分の意思でやるべきことを見極められるようになった。今、最も大事なことを自分で選べて、そのとおりこっちに主張できる。大人になったってことなんだろうな」

 佐々木監督が“張った言い方”になるときは、うれしいことを語っているときだ。

「何かのきっかけでフン詰まりが解消できて、同時に自分の判断で対応できるようになった。スライダーがよくなったとか、スピードが増したとか、アイツの飛躍の理由を新聞などで目にするけど、まあ、それもそうなんだろうけど、それ以上に実戦のマウンドで自立できるようになったよね」

 マウンドでの立ち居振る舞いが、間違いなく昨年と違っているという。

「顔色が違うでしょ。顔つきも違う。威風堂々、マウンドから打者を見下ろして投げている。グラウンドのなかで、マウンドがいちばん高い場所なんだってことを、今頃になって実感しているんじゃないかな」

<“完信”を持て。マウンドでは生意気なぐらいに、私生活は謙虚に>

 4月23日、広島戦に先発し、7回を1失点に抑えたその日の夜、佐々木監督はこんなメールを岩貞に送った。

 完信とは、完璧な自信。才能が開花寸前の教え子に、佐々木監督がつくって贈った激励の言葉である。

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