ヤクルト優勝秘話。最下位チームを支えた「裏方たちの献身力」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuchi

 橘内トレーナーは、ヤクルト投手陣に「ケガなく1年を過ごしてもらう」ことを大きなテーマに掲げ、練習に取り組んできた。
 
「ケガの要因はいろいろありますが、疲労が残った状態で無理して投げると、ストレスがたまってケガにつながります。まずは、それを減らしていこうと。そして、シーズンの最初から最後まで、いかに体力を保ってパフォーマンスを発揮できるかに重点を置きました。もちろん、全員が同じ練習メニューをするのではなく、個々の課題に合わせ、本人と僕、さらに監督やコーチからの意見を参考に、選手と十分に話し合ってやってきました」

 ヤクルトは今シーズンから、コーチ、投手、野手、裏方が集まっての全体ミーティングを導入した。それは橘内トレーナーにとっても貴重な時間となった。

「チームのミーティングに参加することで、選手やコーチたちの考えを知ることができましたし、僕の練習のコンセプトをみんなに伝えられるいい機会でした」

 しかし、春先は好調だった投手陣だが、徐々に調子を落とし、5月には9連敗を喫することになる。

「勝負どころの8月を考えて、春先から徐々に負荷を強くしていくメニューにしていたのですが、あの9連敗で見直すべきかどうか考えました。でも、先々のことを考えて計画通りにしようと。結果、9月に盛り返すことができたので、うまくはまったと思います」

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る