ヤクルト優勝秘話。最下位チームを支えた「裏方たちの献身力」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuchi

 今シーズン、大混戦を極めたセ・リーグを勝ち抜いたのは、昨年まで2年連続最下位に沈んでいたヤクルトだった。真中満新監督のもと、チームは昨年より16個の白星を上積みした。その要因は、試合ごとに成長していった選手たちの活躍はもちろん、この若いチームを献身的にサポートした"裏方たち"の存在も忘れることができない。

選手たちのコンディションづくりに尽力した橘内トレーナー(写真左)選手たちのコンディションづくりに尽力した橘内トレーナー(写真左)

 投手陣を牽引した石川雅規は、日本シリーズの最中、こう語っていた。

「僕ら選手たちだけで試合に挑むことはできません。裏方さん。ユニフォームを着ている方、着ていない方、トレーナーもマネージャーも含めて、誰ひとり欠けてもこの優勝はなかったと思います。去年、一昨年と最下位でしたが、負けた後は励ましてくれて、毎日変わらず僕らを後押ししてくれました。その方々のためにも優勝したかったですし、少しは恩返しできたなかって思います」

 今シーズン開幕すると、投手陣は一時期、チーム防御率1点台と昨年とは見違えるピッチングを見せた。その頃、高津臣吾投手コーチにヤクルト投手陣がこの先やるべきことについて質問すると、「とにかく健康管理です」と即答した。これまで故障者続出のイメージが強いヤクルトだったが、今年は大きな故障者が出ることなくシーズンを乗り切った。

 石川は「コンディショニングコーチのおかげで状態がいい」という言葉を、シーズン中、何度も口にしていた。

「僕らのコンディショニングにすごく気を遣っていただけました。小さな気づきもしてくれて、だからこそ、登板数が多くなった中継ぎ陣も大きなケガなくここまで来られたのだと思います。今年、橘内(基純)さんが来て、いい結果を残すことができましたが、去年いた(コンディショニング担当の)菊地大祐や、歴代携わってきたコーチたちの下地があってのことなので、そういう方たちにも感謝しています」

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