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かつての世代最強打者。中日・福田永将「9年目の飛躍」の真相 (3ページ目)

  • 高森勇旗●文 text by Takamori Yuki
  • photo by Kyodo News

「オレはまだサク越えも打てないのに、全国大会の大一番で、4本もホームランを打っている。どれだけの差があるんだろう……。コイツ、何者なんだ!?」

 思わず『シニア新聞』をクシャクシャにしてしまいそうなほどの衝撃。この瞬間から、私は福田という男を一方的に意識し始めた。同時に「負けたくない」「オレも同じ舞台に立ちたい」という明確な目標も生まれた。個人的な話だが、私がプロ野球選手になれた(06年高校生ドラフトで横浜から4巡目指名)要因のひとつに、福田が影響していたことは間違いない。当然、私以外にも福田から影響を受けた選手はいるはずだ。それほど、福田という選手は同世代に影響を与えてきたのだ。

「8年間、一軍でたいした成績を残していないのに、まだ現役でいられるのは珍しい方だと思う」

 福田は謙遜した言い回しで丁寧に語り、そしてこう続けた。

「数字とかレギュラーとか、そういうことをあきらめたわけではない。でも、今はそれよりも、このつかんだ感覚を自分のものにしたい。このバッティングを自分のものにする。そこにだけ集中している」

 確かな手応えを感じている今、メンタル面でも大きな変化が起きている。「技術の部分に関しては、間違いなくこれだという感覚がある」という福田。もう成績や周りの評価に左右される自分はいない。自分の道を突き進む福田の集中力は、別次元の領域にある。あの迷いのないフルスイングは、こんな経緯から生まれている。

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