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DeNA三嶋一輝のどん底を救った三浦大輔のひと言

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

「期待に応えられないことが、これほど辛いとは思いもしませんでした......」

 横浜DeNAベイスターズの三嶋一輝は、昨シーズンをそのように振り返った。

昨年は開幕投手を任されるも、1勝2敗と期待を裏切ってしまった三嶋一輝昨年は開幕投手を任されるも、1勝2敗と期待を裏切ってしまった三嶋一輝

 その前年のルーキーイヤーは順風満帆だった。5月に先発登板の機会を得ると、そのままローテーションに定着。夏にはベイスターズの新人投手としては39年ぶり()となるオールスターに出場し、シーズン終了後には侍ジャパンの台湾遠征メンバーにも選出された。結局、34試合に登板し6勝9敗と負け越したが、奪三振率8.89はリーグトップ。早くもベイスターズの次期エースと呼ばれる存在になった。
※前身の大洋ホエールズ、横浜大洋ホエールズ、横浜ベイスターズ時代を含む

 中畑清監督も三嶋の堂々とした投球姿勢を評価し、昨シーズンは早い段階で開幕投手に指名。ベイスターズで入団2年目の選手が開幕投手を務めるのは、1998年の川村丈夫(現・一軍投手コーチ)以来16年ぶりのことだった。

名誉ある晴れの舞台だったが、三嶋は喜びと同時にある不安を抱えていた。

「オープン戦から納得のいく投球はできていなかったんです。キャンプ後半からフォームが合わなくなって腕が振れずスピードが出ない。本来150キロ前後出ていたストレートは144キロ程度。だけど今年は結果を残さないといけないし、期待されていると思い頑張るんですけど、無理に投げようとすると今度は肩やヒジが張ってしまう。そうしているうちにどんどん調子を崩していってしまったんです」

 自身初の開幕戦は、その後の三嶋に大きな影響を与えてしまう一戦となった。3月28日のヤクルト戦、法政大学の1年後輩の西浦直亨からプロ野球史上初となる開幕戦での一軍初打席・初本塁打を喫するなど、1回だけで7点を失った。結局2回9失点で降板。翌日ファームに落とされた。

 その後、一軍復帰を果たすも。打ち込まれてはファームに落ち。結局、昨シーズンはわずか8試合に登板しただけで、1勝2敗、防御率10.88と散々な結果に終わった。ちなみに三嶋はプロ1年目、ファームで過ごすことは一度もなかった。

「今だから言えますけど、開幕戦がすべてでした。ショックでした。結果を出せない自分にも腹が立ったし、何よりもファンや監督、コーチ、裏方の人、そして選手たちの信頼を裏切ってしまった。こんなことは初めての経験で、正直どうしていいのかわかりませんでした」

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