DeNA三嶋一輝のどん底を救った三浦大輔のひと言 (2ページ目)
三嶋は小学校6年生から野球を始め、福岡工業高校に進学後、投手の道を歩み出した。3年時に140キロ後半の速球を武器に頭角を現すと、法政大でも1年からマウンドに上がった。4年生の時には東京六大学野球リーグ戦の優勝に貢献し、ベストナインにも選ばれた。
「ここまで大きな失敗というものをしたことがなかったんです。だからどう対処していいのかわからなかった。休んでいれば元に戻るだろうと思っていたけど、それでもダメで......。結局、開幕戦のショックをずっと引きずっていたんです」
野球人生ではじめて味わった挫折。生来、意地っ張りという三嶋は、他の人に相談することもなかった。解決の糸口を探しもがいている最中、三嶋に声をかけてくれたのが先輩の三浦大輔だった。
「一輝、お前は真面目すぎるんだよ。若いんだから、もっと自分を出して、馬鹿になってもいいんじゃないか。お前はもっと堂々としていればいいんだよ」
考えてみれば、三浦は若い時からリーゼントで自己主張をしたり、背番号18がほしいと球団に直訴したこともあった。もちろん、結果を出した上でのことだが、三浦も根は真面目な選手として有名だ。
「図太くいかないと、開幕戦とか大事な試合で失敗した時に立ち直れない。そういう意味で、三浦さんは『真面目すぎる』って言ってくれたと思うんです。あと、『野球は取り返しができるスポーツなんだぞ』とも言われました」
三嶋を気にかけていたのは三浦だけではなかった。ある球団関係者は「お前は二軍にいるような選手じゃない」と何度も励ましてくれた。意外なところでは、昨年ベイスターズから阪神に移籍したキャッチャーの鶴岡一成や、中日のプレイングマネージャー・谷繁元信も三嶋にアドバイスを送っていたのだ。
「谷繁さんからは、どこが悪いのかアドバイスをいただきました。オールスターに出たのがきっかけで、それからの縁なんですが、すごくありがたくて、何とか力に変えたいなって思いました」
先輩たちの助けもあり、三嶋はゆるやかながら復調することができた。同時に開幕のショックは徐々に過去のものになっていった。シーズン後半、そして秋季キャンプでは本来の球威を取り戻したという。
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