中日が優勝候補筆頭 !? 夏場の日程にドーム格差 (2ページ目)

  • 津金一郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nikkan sports

「8月の屋外の試合は本当にツライですよ。練習するだけでも体力が奪われる。その点、ドームの試合は本当に楽です。天国と地獄ぐらいの差があります。それに夏は屋外球場での試合後は、なかなか疲れが抜けないんですよ。日本の夏は湿気がすごいから、どうしても疲れが足に溜まって、下半身主導で投げられない。そうなるとボールのキレもなくなりますし、ピッチャーにとっては本当に厳しい季節です。ただ暑いだけならいいのですが、湿気が厄介です。汗の量も半端じゃないですからね」
 
 人間は体温が約37度になると脳のセンサーが働き、体温を一定に保つように体内の熱を発散させる調整機能がある。また、気温が28度を超えた場合には、どんなに安静にしていても汗腺が自動的に活動をはじめる仕組みを持っている。汗が蒸発して気化することで、体表の熱は下がって体温が一定に保たれるのだが、それによって体力は消耗し、疲労による思考力の減退、判断力の鈍化にもつながっていく。暑さのなかでスポーツをするのは「慣れ」の部分もあるが、プロ野球解説者の与田剛氏は言う。

「最近は暑さの質が違いますよね。冷房が効いた部屋から外に出ると気温が違いすぎて、コンディションを維持するのが大変です。この時期の屋外球場はブルペンでジッとしているだけでも疲れます。風の通りが悪い球場もありますから。その点、ドーム球場のブルペンは快適。その差も大きいですよ」
 
 そこでセ・リーグ各球団の8月末までに予定されている試合のうち、ドーム球場と屋外球場の試合数の内訳を比較してみた。

巨人    ドーム9試合、 屋外9試合
阪神    ドーム9試合、 屋外9試合(うち甲子園3試合)
広島    ドーム3試合、 屋外15試合
中日    ドーム14試合、 屋外4試合

(横浜   ドーム5試合、 屋外12試合)
(ヤクルト ドーム3試合、 屋外14試合)

 予想以上にバラつきがあった。広島は本拠地のマツダスタジアムで12試合行なえるとはいえ、残暑の厳しい時期だけに屋外球場での連戦による疲労は、終盤戦に向けての不安材料かもしれない。一方で、中日は屋外球場は4試合のみで、残りの14試合はドーム球場(ナゴヤ11、京セラ3、東京ドーム3)だ。

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