終わったはずのシーズンから始まった伝説 ロサンゼルス・タイムズが伝えた山本由伸「中0日」登板の歴史的夜 (2ページ目)
アレハンドロ・カークをゴロで併殺に打ち取り試合を決めると、山本はキャップをとり、天に向かって両腕を突き上げた。捕手のウィル・スミスがマウンドに駆け寄り、彼の腰を抱き上げた。
「今までに感じたことのないような喜びを感じた」と山本は言った。
第2戦を完投。第6戦でも6回を投げた。そして第7戦での貢献を加えると、シリーズ通算で17回3分の2を投げ、許した得点は2点のみ。
往年の名投手を彷彿とさせる活躍で、山本はシリーズ最優秀選手賞(MVP)とともに、世界中からの称賛を勝ち取った。
【大谷翔平も認めた世界一の投手】
「本当に彼が世界一の投手だと思っている」と大谷翔平は語った。
「チームのみんなもそう思っているんじゃないかな」
またフレディ・フリーマンは、昨季、肩の故障で3カ月離脱した山本が、身長5フィート10インチ(約178センチ)の体で担った投球量に舌を巻いた。
「だって彼はゆうべ、先発で投げているんだ。なのに今夜は、投手陣のなかで一番長いイニングを投げた」
フリーマンは山本が3試合で投げたことに加え、じつは「もう1試合」投げるために肩をつくっていたことも指摘する。第2戦の完投から2日後、山本は第3戦の延長19回に備え、ブルペンで準備をしていた。結局ドジャースはその試合を延長18回で勝利した。
「あんなのは見たことがない」とフリーマンは言う。
編成本部長のアンドリュー・フリードマンも第7戦での山本について、「彼が前夜と同じ質のボールを投げられるなんて......。これまでメジャーの球場で見てきたなかで本当に最高の偉業だ」と語った。
このシリーズの山本のようなことをできる投手が、ほかにいるだろうか?
「いや、いないだろう」とフリードマンは言う。
「じつのところ、昨日の朝の時点では、ヤマモトでもできるとは思っていなかった」
第6戦の後、第7戦でのもしもの登板に備え、ホテルで矢田の治療を受けておくと山本から知らされた時は、あまり真に受けていなかったという。ところが翌朝、もう一度治療を受けたと聞かされた。
2 / 4

