大谷翔平は巻き返せるか。新人王争いはヤンキースの若き大砲が最有力 (3ページ目)
5月の成績は24試合に出場して打率.325・9本塁打・24打点をマーク。その結果、ア・リーグの月間最優秀新人賞に選ばれました。4月に同賞を獲得した大谷選手の連続受賞を阻んだので、彼の名前を覚えている人も多いのではないでしょうか。
デビューした当初、トーレスの打順は9番でした。ところが、ラストバッターとしてホームラン9本を放って評価を上げ、6月30日のボストン・レッドソックス戦ではついに初の4番に抜擢されたのです。
昨年メジャー最多の59本塁打を打ったジャンカルロ・スタントンや、メジャー2年目でホームラン王に輝いたアーロン・ジャッジを擁するなど、名門ヤンキースのラインナップは他のチームとは一線を画します。そのメジャー屈指の強力打線において、トーレスが4番の座を射止めたのは大きな驚きでした。ヤンキースの歴史を振り返っても、21歳199日での4番抜擢は1953年のマントルに次ぐ若さです。
ただ、そんな衝撃的な出来事を成し得たにもかかわらず、トーレス本人は「自分はホームランバッターではなく、コンタクトヒッターだ」と言っています。今年のオールスターのホームラン競争も辞退するなど、その言動にも驚かされました。
現在、トーレスの成績は打率.289・15本塁打・42打点。強力打線のなかでチーム5位の本塁打数をマークしています。オールスター前に故障者リスト入りして15試合欠場しましたが、復帰後も好調をキープすれば、1963年にジョー・ディマジオが21歳で29本塁打を打った記録を更新するのではないかと言われています。
実に話題の多い選手なので、後半戦も楽しみな存在です。今のところ、トーレスがア・リーグ新人王候補の最有力ではないでしょうか。大谷選手が復活して巻き返すか、それともトーレスがさらに爆発するか、後半戦もニューカマーから目が離せません。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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