大谷翔平は巻き返せるか。新人王争いはヤンキースの若き大砲が最有力
2018年のMLBニューカマー@ア・リーグ編
2018年のメジャーリーグも、いよいよ後半戦に突入しました。前半戦は大谷翔平選手の衝撃デビューで大いに沸きましたが、時を同じくして台頭してきた他のニューカマーの存在も見逃すわけにはいきません。そこで今回は、シーズン前半戦で一気に名を世に広めた若手有望株たちを紹介します。
後半戦でさらなる飛躍が期待される大谷翔平 まずはア・リーグで注目されたのは、ロサンゼルス・エンゼルスのハイメ・バリア(22歳)というピッチャーです。大谷選手のチームメイトなので、テレビで投げる姿を観た方も多いのではないでしょうか。
バリアの出身は中央アメリカのパナマ共和国。2013年に16歳でエンゼルスに入団しました。そして3年後の2016年には、チームの最優秀ピッチングプロスペクト(投手の若手有望株ナンバー1)に選ばれています。
2017年はマイナーのシングルAからスタート。その後、ダブルA→トリプルAと順調に階段を駆け上がり、26試合の先発で合計7勝9敗と負け越しながら、防御率2.80という好成績をマークします。その年、オールスター前に行なわれるフューチャーズゲーム(若手のオールスター)では、世界選抜チームにパナマ出身者として唯一選出されました。
2018年、バリアはマイナーで開幕を迎えます。ところが今季、エンゼルスは先発投手陣に故障者が続出。そのために開幕早々の4月11日、テキサス・レンジャーズ戦で先発するチャンスを掴みました。すると、当時21歳という若さながら落ち着いたピッチングを披露し、5イニングを1安打1失点で初登板・初勝利を挙げたのです。
バリアの球種は主に速球とカーブ、そしてチェンジアップ。そのなかでも、チェンジアップのキレが高い評価を得ています。また、コントロールが秀でているのもバリアの大きな武器でしょう。
4月22日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦に登板したときのピッチングは、まさにその真骨頂でした。初回、2番バッターのブランドン・ベルトに対して、なんと1打席で21球も投げるというメジャー新記録を打ち立てたのです。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)