大谷翔平へ、ジョニー黒木からの伝言。
「男の生き様を見せてくれ」 (2ページ目)
力のあるボールを投げるために大谷は模索していた。
練習に対する姿勢。これが黒木に「大谷は野球選手の教科書」と言わしめる所以(ゆえん)である。
「雑なキャッチボールをしている姿は一度も見たことがない。そのあたりから、投げたボールがどこまでも伸びていくような強さが出始めた」
そのキャッチボールには狙いがあった。
「毎日の体の変化をキャッチボールでチェックしていた。何か感覚が違うなと思ったら原因を探る。例えば、今日は登板して2日目だからとか、ウエイトトレーニングの後だからとか」
大谷にはこんなことがあった。
「2年目のシーズンを迎えたある日、大谷のピッチングを首脳陣たちが見ていたとき、全員が口を揃えて、『危ない』と言ったんです」
ウエイトで体を大きくしていたからか、フォームがバラバラだった。コーチ陣は、すぐにネットスローに練習を切り替えさせた。
「世界の猛者たちに勝つためにはウエイトトレーニングをしないといけない。高みを目指す選手なので、やればやるほど体重が増えて、強い体になっていった。前年の体重から5キロ、10キロ増えて、投げ方が全く違っていた」
フォームさえ間違えなければ、腕が振れるというのは大谷自身でわかっている。誰かから言われなくても、自分で判断できる指標がほしい。それがキャッチボールだったのだ。
「5年間、その練習ばっかり。メジャーに行っても変わらずやるでしょうね」
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