日米2000本の青木宣親をめぐる、偉大な恩師との「背番号秘話」 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Getty Images

 公称168センチメートル、「小さな大打者」と称される若松が、身長175センチメートルの青木を「あの小さな身体でよく頑張った」と評価している。歴代の背番号《1》の中でも、若松にとって青木は格別な思いを抱かせる選手なのだということがよく伝わってくる。

 改めて、先に述べた「年賀状」について尋ねてみると、若松はこう言って笑う。 「これね、オレのお守りのような気がするんだよね。この年賀状の後、青木は高打率を残して一流選手になって、さらにアメリカで活躍して......。このハガキを持ち歩いて野球観戦をしながら、"青木のような選手が出てこないかな?"っていつも思っているんです」

 ヤクルトの誇る「背番号《1》の系譜」。その絆の固さが垣間見えるエピソードだった。そして現在、ヤクルトでは若きスター・山田哲人がこの番号を背負って奮闘を続けている。

若松がお守りのように持ち歩いていた青木からの年賀状若松がお守りのように持ち歩いていた青木からの年賀状

 15年オフ、山田が背番号《1》を背負うことが決まった。このときの記者会見にはサプライズゲストとしてメジャーリーガーとなった青木宣親が登場。新旧1番コンビのそろい踏みとなった。これは衣笠剛球団社長から、「直接、山田に手渡してほしい」と頼まれた青木が快諾し、このサプライズが実現したのだという。アメリカに渡った後も、青木とヤクルトの良好な関係、絆の強さが証明され、ファンは歓喜した。青木は言う。

「ヤクルトの《1》は特別な番号。プレーだけではなく、山田には人間的にもチームを引っ張っていってもらいたい」

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