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8年ぶりの日米野球。このメジャーリーガーは必見だ! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 ペレスのすごいところは、キャッチャーというポジションながら、球団新記録となるレギュラーシーズン146試合でマスクを被った点でしょう。メジャーで最も重労働と言われるキャッチャーは、通常なら120試合程度しかマスクを被りません。しかし、ペレスは今年のオールスターゲーム、さらにポストシーズンでも全15試合でもマスクを被りました。並の選手なら、疲れ果てて日本には来られないでしょう。

 ペレスは身長6フィート3インチ(約190センチ)ながら俊敏で、ショートバウンドの投球でも難なくボールを止める技術を持っています。また、クイックスローが秀逸で、矢のような送球も大きな武器です。日米野球で侍ジャパンが盗塁することがあれば、ぜひペレスの強肩をチェックしてください。

 ちなみにペレスは前述のアルトゥーベと幼なじみで、同じ1990年5月生まれ。今年のオールスターで一緒にプレイして以来、2回目のチームメイトとなったので、今回の日米野球はすごく楽しみにしているそうです。

 そしてもうひとり、エスコバーのショートの守備も必見です。4歳から野球を始めたエスコバーは、同じベネズエラ出身でゴールドグラブ賞に11度輝いたオマー・ビスケル(1989年~2012年/クリーブランド・インディアンスなど)のプレイに憧れ、ショートのポジションで腕を磨きました。その結果、今では、「ア・リーグで最も守備の上手なショート」と言われています。残念ながら今年のゴールドグラブ賞はボルチモア・オリオールズのJ・J・ハーディに奪われましたが、エスコバーを推す声も多かったです。ワールドシリーズでは素手で打球をキャッチして、そのまま一塁に投げるシーンも見せていました。エスコバーのフィールディングは、まさに一見の価値ありです。

 また、エスコバーがすごいのは、今年のレギュラーシーズン162試合すべてでスタメン出場を果たした点でしょう。今シーズン、全試合でスタメン出場した選手は、わずか3人しかいません。ロイヤルズが大躍進できたのは、フル回転でプレイしたペレスとエスコバーの存在が大きいと思います。

 来日したメジャーリーガーはバッティングだけでなく、走塁や守備など、見どころ満載です。8年ぶりの日米野球では、どんな素晴らしいプレイを我々に見せてくれるのでしょうか。岩隈久志投手(マリナーズ)や和田毅投手(シカゴ・カブス)も加えたMLBオールスターチームには、今のメジャーリーグの魅力がいっぱい詰まっています。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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