153キロ右腕、ナックルカーブの使い手、右の大砲... 全国の舞台で輝き放った伸びしろしかない3人のドラフト候補 (4ページ目)
金子は高校3年夏の岩手大会で大会新記録となる5試合連続本塁打を放ち、甲子園出場に貢献。高校通算58本塁打をマークした。神奈川大では今春に4本塁打を放つなど、ここまでリーグ戦通算9本塁打を記録している。
金子は自身のセールスポイントである打撃について、こう語る。
「バットを下から出すのではなく、上からボールの軌道のラインに入れていくイメージでスイングしています。今日は好投手相手でしたけど、自分のタイミングさえ取れれば打てると感じています」
大学選手権の大会パンフレットには、金子のプロフィールとして「身長185センチ、体重105キロ」という数値が載っている。だが、そこまで体重があるようには見えなかった。本人に確認すると、苦笑交じりにこんな反応が返ってきた。
「それは去年の数字ですね。今はかなり絞って、93キロです」
体重が105キロあった昨季は極度の不振に苦しみ、レギュラーを外れた時期もあった。金子は「体を大きくしすぎて、途中で腰も痛くなってしまって」と後悔を口にする。
50メートル走のタイムは6秒3と、大型選手ながら動きも悪くない。現在のメインポジションは一塁手だが、「守備は嫌いではないです」と他ポジションをこなす素養は十分に備えている。
今後の希望進路を聞くと、金子は「育成でもいいからプロに行きたい」と口にした。
「監督さん(岸川雄二監督)から『チャンスがあるなら挑戦してみないか』と言われました。もう少し全国で試合をして、アピールしたかったです」
目標とする打者はタイラー・オースティン(DeNA)。広角に長打を打てる打撃スタイルは金子と共通している。
右の長距離砲はプロ球界でも希少価値は高い。金子京介に興味を示す球団は現れるのか。秋にかけて、ドラフト候補たちの戦いはますます熱を帯びていく。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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