U18日本代表のエースは? 前田悠伍超えを狙う全国未経験の152キロ左腕など多士済々の有望投手たち (4ページ目)
升田は今春のセンバツで大きく株を上げた好右腕である。甲子園で自己最速を更新する143キロをマークし、打者の手元で伸びる好球質のストレートで一躍ドラフト候補に躍り出た。合宿の紅白戦でも、時折重力に逆らうようなストレートを投じて片鱗を見せてくれた。
最後に紹介したいのは、紅白戦で2回4失点と炎上した森煌誠(徳島商)だ。身長183センチ、体重87キロの厚みのある体から、好調時には140キロ台後半の剛速球を投げ込む。四国では評判の好素材も、合宿ではストレートも変化球もとらえられ、計6安打を浴びた。
それでも、リリースのタイミングがハマったボールにはプロを意識できるだけのスピード感と凄味が宿っていた。タテに曲がるカーブ、スライダーも出色で、大いなる可能性を感じさせた。
そもそも、今回の合宿での結果によってメンバーが決まるわけではない。馬淵監督も「我々には1試合や2試合見たくらいで力を判断できる能力はない」と明言している。大事なのは合宿での経験をとおして学び、夏に向けて課題をクリアできるかにある。
今回は7投手を紹介したが、紅白戦当日に公式戦が入っていたため登板できなかった坂井陽翔(滝川二)のような逸材もいる。また、今回招集されなかったメンバーのなかにも、夏に向けて爪を研ぐ実力者がいるはずだ。
今夏が終わった段階で、どんな投手の名前が呼ばれるのか。今から待ち遠しくて仕方がない。
【タイトル】『離島熱球スタジアム』 鹿児島県立大島高校の奇跡
【著者名】菊地高弘
【発売日】2023年3月3日
【本体定価】1760円(税込)
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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