U18日本代表のエースは? 前田悠伍超えを狙う全国未経験の152キロ左腕など多士済々の有望投手たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 昨夏は日本一、今春はセンバツベスト8を経験した仙台育英のエース。昨夏までは安定感が際立つ好右腕だったが、季節を追うごとにスケールアップに成功。今春は力強さと正確さが共存した投球を見せ、スカウト陣の評価を高めている。

 合宿の紅白戦では3イニングを投げ、打者10人に対して許したランナーはエラーによる1人だけ。被安打0、奪三振3、四死球0、失点0とほぼ完璧だった。スライダー、フォーク、チェンジアップなど変化球の精度も高く、体調さえ万全なら今夏の代表選出は間違いないだろう。

投打で存在感を示した山形中央の武田陸玖投打で存在感を示した山形中央の武田陸玖この記事に関連する写真を見る

【存在感を放った山形中央の二刀流】

 ストレートの質で異彩を放ったのは、山形中央の左腕・武田だ。身長174センチ、体重77キロと上背はないものの、捕手のミットを突き上げるような好球質のストレートで打者のバットをことごとく押し返した。

 目線や右足の上げ方にバリエーションがある一塁牽制も、武田の一芸だ。紅白戦では3安打を浴びたものの、2つの牽制アウトを奪ってピンチを脱している。打撃力も馬淵監督から評価されており、武田の注目度はますます増してきそうだ。

 センバツに出場した投手では、平野大地(専大松戸)と升田早人(光)が目を惹いた。平野はセンバツでベスト8進出に貢献した一方、最速151キロと評判だった快速球がとらえられるケースが目についた。だが、ストレートに関しては今回の合宿のほうが走っていたように見えた。2イニング目に暴投で失点したものの、巨漢スラッガー・佐倉侠史朗(九州国際大付)から強烈な勢いのストレートで空振り三振を奪ってみせた。

 カーブ、スライダー、フォークの精度は高く、投手歴2年というキャリアの浅さも平野の将来性。佐倉に投じたストレートがコンスタントに投げられるようになれば、その前途は明るいだろう。

 升田は紅白戦で2イニングを投げ、被安打4、奪三振2、与四球1、失点1と不安定な内容。だが、馬淵監督は升田を名指しでフォローした。

「升田くんはもっといいと思いますよ。センバツが終わってから全然投げてなかったみたいなので。本調子ではないなかでも、今日もいいところが出ましたから」

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