帝京名誉監督・前田三夫が唸る逸材高校生投手6人。明治神宮大会で輝いた筆頭は「やはり大阪桐蔭の前田悠伍だ」 (3ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

【新岡歩輝(クラーク記念国際・2年)】

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 2021年の明治神宮大会、そして今春のセンバツにも出場しているクラーク記念国際(北海道)。新岡歩輝はいずれの大会も野手としてプレーしていたが、この秋は球速も増し、主戦投手としてチームを牽引している。

 大阪桐蔭とのゲームでは味方のエラーなど不運な一面もあったが、点差(2−12)ほど打たれた印象はない。むしろ5回に見せた三者連続三振は圧巻で、球のキレも非常によかった。

 横手投げで、スリークォーターから投げたかと思えばアンダースローでの投球もあり、腕の位置、つまり球の出どころが変わるというのは打者にとってタイミングの取り方が難しくなる。

 球種も多く、インコースをうまく攻めている。この冬、体幹を鍛えて体力アップを図れば、さらに投球の幅が広がるのではないだろうか。

【友廣 陸(北陸・2年)】

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 北陸の大黒柱である友廣陸。恵まれた体格だが、体が大きいわりにはフォームに無理がなく、柔軟性がある。それはコントロールのよさにもあらわれ、淡々と我慢強く投げるあたりも好印象だった。

 バッターとしても非凡なものを持っているようだ。4番打者でもあり二刀流を目指すというが、目標は高くあっていい。将来性豊かな選手だと感じた。

◆ ◆ ◆

 この他、東海大菅生(東京)の190センチの大型投手・日當直喜(2年)や、東邦(愛知)の宮國凌空(2年)など、本領発揮とまではいかなかったが素材のよさは十分に感じ取れた。

 投手が安定していたので試合そのものが接戦となり、好ゲームが多かった。ひと冬越してさらに成長した姿を来春のセンバツ大会で見せてもらいたい。

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【プロフィール】
前田三夫 まえだ・みつお 
1949年、千葉県生まれ。木更津中央高(現・木更津総合高)卒業後、帝京大に進学。卒業を前にした1972年、帝京高野球部監督に就任。1978年、第50回センバツで甲子園初出場を果たし、以降、甲子園に春14回、夏12回出場。うち優勝は夏2回、春1回。準優勝は春2回。帝京高を全国レベルの強豪校に育て、プロに送り出した教え子も多数。2021年夏を最後に勇退。現在は同校名誉監督。

【著者プロフィール】
藤井利香 ふじい・りか 
フリーライター。東京都出身。ラグビー専門誌の編集部を経て、独立。高校野球、プロ野球、バレーボールなどスポーツ関連の取材をする一方で、芸能人から一般人までさまざまな分野で生きる人々を多数取材。著書に指導者にスポットを当てた『監督と甲子園』シリーズ、『幻のバイブル』『小山台野球班の記録』(いずれも日刊スポーツ出版社)など。帝京高野球部名誉監督の前田三夫氏の著書『鬼軍曹の歩いた道』(ごま書房新書)では、編集・構成を担当している。

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