帝京名誉監督・前田三夫が唸る逸材高校生投手6人。明治神宮大会で輝いた筆頭は「やはり大阪桐蔭の前田悠伍だ」

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

前田三夫(帝京名誉監督)の明治神宮野球大会観戦記【高校・投手編】

各地区の優勝チームが集い、全国ナンバー1を決める明治神宮野球大会。11月に第53回大会が開かれ、高校の部は2年連続で大阪桐蔭(大阪)が大会を制した。この大会を全試合初めて観戦したというのが、帝京(東京)の前田三夫・名誉監督。半世紀にわたり高校球児を指導してきたその目に、印象深く映った選手は誰なのか。まずは投手編として、ピックアップしてもらった6投手を紹介。

帝京の前田三夫・名誉監督 撮影/村上庄吾帝京の前田三夫・名誉監督 撮影/村上庄吾この記事に関連する写真を見る◆ ◆ ◆

【前田悠伍(大阪桐蔭・2年)】

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前田三夫(以下、同) 今大会、全体的に投手はみなよかった。大黒柱といえるエースが必ずいて、そこに2枚、3枚と複数の投手を擁したチームが上位にいったという印象だ。

 そのなかでも筆頭として挙げたいのは、やはり大阪桐蔭の前田悠伍だろう。キャッチャーミットにズバッと投げ込む直球のコントロールは抜群で、内と外を使い分け、右打者へのインコースは特に有効だ。

 スライダー、チェンジアップなど球種は多いと聞いていたが、外への変化球も鋭い。ストレートにこだわりながらも変化球を有効に使っていた。

 準決勝の仙台育英(宮城)戦では全体的に球が高めに浮き、コントロールもいまひとつながら、私が見る限りストライクともとれる微妙なコースをついていた。本人も戸惑ったかもしれないが、そんな状況でも大崩れはしていない。終盤も140キロ台の速球を投げておりスタミナも十分。悪くても悪いなりにまとめる投球は見事だ。

 現時点で高校球界屈指の投手であることは間違いなく、あれだけのキレのあるボールを投げる投手は少ない。将来が楽しみである。

【高尾 響(広陵・1年)】

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 広陵(広島)の高尾響は1年生とは思えない、堂々たるピッチング。入学早々エース番号をもらい、明治神宮大会ではケガもあって背番号11になったそうだが、マウンド度胸よく、自信を持って投げている姿にはとても好感が持てた。

 特に準決勝の北陸(福井)戦では、コーナーにきっちり決める抜群のコントロール。ボールの質のよさを感じさせ、変化球にもキレがある。体はそれほど大きくないが可能性を秘め、この先も順調に伸びていってくれたらと思う。

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