甲子園を沸かせたスラッガー5人を分析。名打撃コーチ・内田順三が浅野翔吾らの長所と課題を語る (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

俊足・巧打が持ち味の九州国際大付の黒田義信俊足・巧打が持ち味の九州国際大付の黒田義信この記事に関連する写真を見る黒田義信(九州国際大付/中堅手/180センチ・73キロ/右投左打)

 広角にヒットゾーンへと運べそうな、打撃センスのよさを感じます。体のバランス、構え姿の背中のライン、確実性の出そうなスイングもいい。さばくのが上手で、若林晃弘(巨人)によく似ていると感じました。

 ひとつ気になったのは、低いトップからさらにヒッチ(バットのグリップを上下動させる動き)が入ること。丸佳浩(巨人)のように構えでグリップが低くても、最終的にトップで上がっていれば問題ありません。黒田くんはトップ時にヒッチが入るので、ストレートの速い投手には差し込まれる危険があります。線の細い打者ほど、どうしても反動を使って飛ばそうとしますが、プロでは余分な動きが命取りになります。

 このヒッチが入ることでバットが遅れて出てきて、遅い変化球にも対応できる利点もあります。とはいえ、今後を考えると矯正したほうがいいでしょう。肉体的な伸びしろもあるので、これから大人の体になった時にどんな打者になるのか楽しみです。

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 プロに進むどの選手も、一番大切なのは「スピードに慣れること」です。高校野球とプロでは投手のレベルがまったく違います。ストレートのスピードが速いうえに、変化球だって比べものにならないくらいキレが増します。投手は打者にフルスイングをさせまいと、さまざまな手を使ってタイミングを外してきます。

 そこで投手に合わせてコンタクトしようとすると、打者として小さくまとまってしまいます。まずは空振りを恐れず、プロの速いボールに対して自分のスイングをすること。それがプロで活躍できる強打者への第一歩です。

 うまいバッティングをしようとせず、大学へ行ったつもりで力強いスイングを身につける。今回分析した選手には、そんなプロ生活を送ってもらいたいです。

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