「東大野球部を勝たせてみろ」、恩師の言葉に「はい」。64連敗ストップの立役者、松岡泰希捕手の武器は"記憶力" (4ページ目)
持ち前の記憶力で東大受験へ挑んだ
ーー高校3年で部活を引退してからはどのような勉強を?
松岡 最後の夏の東京都予選で、3回戦で負けて部活が終わってからは、1日に10時間は勉強しようという感じでしたね。僕は覚えるのが好きなので、とにかく全部暗記というか、わからなかったら、理解するというより暗記しちゃえって感じでした。だから、社会は得意でしたね。受験では世界史と地理を選択しました。
逆に数学はもう本当にやばかったです。だから苦手な数学は理解できないのであれば、問題の解法を丸暗記して。最後までは解けないけれど、部分点を狙うぞといった感じでした。
それでも本番まで、東大模試では最初から最後までずっとE判定でした。他の大学も受けたんですが、どこも受からないまま東大受験を迎えました。
ーー模試でE判定しか出ていなかったけれど、東大に挑んだんですね。
松岡 もう本当に浪人するつもりだったので、受験本番も翌年の予行演習みたいな気持ちで受けたんですが、本番では対策がバチッとハマりました。受験に向けては、東大受験に必要な勉強しかしていなかったのが、かえってよかったのかもしれません。
ーー東大受験に特化した勉強をしていたとのことですが、どのような対策ですか?
松岡 部活を引退してから通った早稲田アカデミーでは、東大のコースに入っていましたね。東大入試は知識を聞いてくるというよりも論述問題が主なので、そのコースでは論述ばかり対策していました。
ーー塾での対策と持ち前の記憶力で、みごと赤門をくぐったわけですね。覚えるのが好きだという言葉が印象的です。覚えることは、野球や捕手としての力にもつながっているのでしょうか?
松岡 そうですね。相手バッターの苦手なところだったり、癖を覚えられると思います。特に六大学野球はリーグ戦で、初めて対戦する相手が多い高校までとは違って相手選手のことが細かくわかっています。分析した情報を覚えられるのは、野球に生きているかなと。
* * *
「上で野球を続けたい」
あくなき野球への向上心を胸に、松岡選手は覚える力も駆使して東京大学に入った。恩師に「東大を勝たせてみろ」と激励されてから3年、憧れの舞台である神宮球場でそれを実現できる機会を手にしたのだ。
(後編につづく)
写真提供/東京大学野球部
<profile>
松岡泰希 まつおか・たいき
2000年、神奈川県横浜市生まれ。小学3年の時に野球を始め、小学6年から捕手。中高一貫の東京都市大学附属を経て、東京大学文科3類に現役合格。東大野球部では、1年春に神宮デビューを果たし、今季は主将としてチームを引っ張る。2塁送球1秒85の強肩で、プロのスカウトからも注目を集めている。
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