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「東大野球部を勝たせてみろ」、恩師の言葉に「はい」。64連敗ストップの立役者、松岡泰希捕手の武器は"記憶力" (3ページ目)

  • 宮部保範●取材・文 text by Miyabe Yasunori

「お前が東大を勝たせてみろ」

ーー松岡選手の少年時代は、野球が生活の中心にあったということですね。ではなぜ、高いレベルの野球を目指してきた松岡選手が、東大を志したのでしょうか?

松岡
 大学でも野球を続けたいと考えていた時に、当時の監督に「お前、勉強頑張れば東大っていうのもありなんじゃないの」って言われたんです。「このままじゃ行けないけど、まずはちょっと頑張ってみたら」って。それで東大を目指すことにちょっと興味を持ちました。

ーーそれは何年生の頃ですか?

松岡 中学3年から高校1年に上がる頃ですね。中高一貫の学校だったので。野球中心の学校生活ではあったんですが、勉強のほうは授業をしっかりと聞いていましたし、定期テストの成績はちゃんと取っていたので、可能性を追い求めてみてはどうかという助言だったと思います。そして、「東大に行って、東大を勝たせてみろ」って言われて、「はい」と。

ーーまず野球を高いレベルで続けるのが希望としてあって、その道筋として東大が候補に挙がったと。

松岡 当時の僕の技術で、たとえば、早稲田大学で野球部に入って、すぐに試合に出られるかって言われたら......。やっぱり甲子園に出ている選手や強豪校からうまい選手がたくさん入ってくるんで、出られないとは言わないですけど、最初から自分が試合に出場できるかと言えば、そうではない。

 東大だったらレギュラーを目指せるだろうし、ゆくゆくは主力として試合に出て、自分の手でチームを勝たせることができるのではないかと思ったんです。

この記事に関連する写真を見るーー学校での成績はよかったとのことですが、監督からは当時のままでは東大には届かないとの話もありました。松岡選手は東大に現役合格していますが、高校時代、どのように勉強をしていましたか?

松岡
 まずは授業をちゃんと聞くようにしてましたね。やっぱり、授業って先生が大事なことをおっしゃっていますし、それをひとつ残らず聞き漏らさないようにして、メモを取りました。

 学校以外では、英語だけですが塾にも通っていました。高校の野球部の慣習というか伝統で、全員で同じ塾でした。英語だけはしっかりやろうっていう感じでしたね。勉強をしっかりやらないと補習に出なければならなくなって、野球ができなくなってしまうので(笑)。

ーー補習で野球をできなかったことは?

松岡 それはなかったですね。

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